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貴金属の輝き保つ 達人・内藤千恵さんのワザ 帰宅後すぐ外して一拭き

2016/10/26 日本経済新聞 夕刊

 装いの秋。貴金属や宝石類を身につける機会も増える。扱い方が雑だと大事な逸品が黒ずんだり色あせたりしてしまうこともある。ジュエリー製造販売会社、ベーネユナイテッド(甲府市)の販売サロン(東京・銀座)を運営する内藤千恵さんに、輝きを長持ちさせる極意を聞いた。
内藤千恵(ないとう・ちえ)さん 山梨県出身。神奈川大卒、54歳。専業主婦を経て2004年、貴金属の製造販売会社「トゥットベーネ」(07年、ベーネユナイテッドに社名変更)設立に参画。09年から副社長。12年、東京・銀座に販売サロンを開く。

 ――貴金属を長持ちさせるために、まず気を付けることは何でしょうか。

 「30~40歳代の身だしなみに気を使う女性から、18金の指輪が黒ずんでいる、真珠のネックレスがさびてしまった、どうすればいいかという相談をよく受けます。ワーキングウーマンは多忙なのか、ジュエリーを身につけるにあたっての基本動作がよく知られていないことが多いです」

 「ネックレスであれイヤリングであれ、あらゆる貴金属を楽しむ基本動作は、身支度を終えてから身につけて、帰宅したらすぐ外すこと。身支度、特にメーキャップや香水を振りかけるときに装着していると、化粧品に含まれる油成分が貴金属に付着します。これが黒ずみやさびなど経年劣化の大きな原因です」

 ――帰宅して外した後、どのようにケアすればよいのでしょうか。

 「ジュエリー専用のやわらかいクロスでやさしく一拭きしてください。油成分とともに経年劣化の原因となる汗やほこりを取り除きます。私たちは肌に直接触れる下着を毎日洗濯します。ジュエリーも使ったらきれいにしてください。ただ研磨剤入りのクロスは表面に傷を付ける恐れがあるので、クロス選びには気をつけましょう」

 「ジュエリーはクロスにくるんで、表面から裏面まで拭くこと。指でつまんで拭くと、皮脂がついて台無しになります。真珠のネックレスは、2枚のクロスをそれぞれ両手に添えて、真珠をつなぐ綿糸も軽く拭くように。つなぎ目のわずかな隙間にもほこりは侵入します。きめ細かい一拭き、その積み重ねがゴールドやパールの輝きを保つのです」

 ――拭いても落ちない汚れは、洗ってもよいのでしょうか。

 「もちろん洗っても構いません。貴金属の多くは酸に弱いので、中性洗剤を使って洗います。念のため水で薄めてボウルなどに張って一晩、汚れたものを浸します。翌朝、ボウルから取り出してセ氏37~38度のぬるま湯か流水ですすぎます。あとは乾くのを待ちます。これでおおむね本来の姿に戻ります。歯ブラシなどブラシ類を使ってはダメです。傷の原因となるし、石やチェーンの留め具がゆるむ恐れがあるからです」

 ――貴金属だけなく宝石など、石も洗えるのでしょうか。

 「石によっては洗えないものもあります。硬度と結晶の密度の低い石は酸など外部の刺激で割れることもあります。真珠、コーラル、ラピスラズリ、ターコイズが代表的。洗うのはもちろん、紫外線にさらすのも厳禁。気になったら、買い求めた店で硬度を尋ねてください」

 ――使ったら収納しますが、どんな点に気をつければいいのか。

 「今は様々なアクセサリーを間仕切りによって、まとめて収めるジュエリーボックスが市販されています。異なる石を一緒にすると、硬度の低い方が傷つく可能性があるので別々に収めるようにします。箱の素材もプラスチックやアルミニウムなど硬質なものは避けて、やわらかい布の上に収納できる商品を選んでほしいですね」

 ――親の遺品の手入れの相談も多いそうですが。

 「私の母は昨年6月、79歳で亡くなりました。母は愛用のそれぞれ18金のブローチとイヤリングを大事にしていました。私はその姿を覚えていたので、母の体が弱った昨年初めから毎週末、母が住む甲府市に帰った際はクロスで丁寧に拭いていました。お弔いで愛用の品を母の身につけました。会葬者から『きれいな宝石』と言ってもらいました。その品は私の弟の妻に引き継がれています」

 「祖母から母、そして私へと手入れの方法は伝わりました。私のもとに相談が相次ぐのは、核家族化などでノウハウがうまく伝わっていないのかもしれません。思い入れのある貴金属など長く大切にしてほしいという思いから、ブログも活用して手入れ術やジュエリーの魅力を情報発信しているところです」

[日本経済新聞夕刊2016年10月26日付]

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