前回の記事「だらだら見ちゃうスマホ 1分で止められる驚きのワザ」で紹介したおすすめアクション、実践していただけましたか? いずれも1分あればできるので、ぜひ試してみてくださいね。そして、それでも「だらだらスマホ」をやめられなかったとしたら……。
実は、無理にやめなくてもいい人もいる
「だらだら見てしまうスマホをやめたいのに、つい見続けてしまう」「やめるきっかけが見つからなくて、結局今日も寝不足」。そんな経験ありませんか? 実は、私もだらだらスマホをやめられなくて悩んでいた時期がありました。もしかしたら、だらだらスマホをやめられないのには、理由があるのかもしれません。その点について今回、お話ししていきましょう。
「今度こそ絶対、だらだらスマホをやめる!」と決めて、気合いでやめたDさん。数日は頑張れたものの、気づいたらお酒の量が増えて、二日酔いに悩まされるようになりました。
また、Eさんは、毎日のだらだらスマホはやめられたものの、月に数回どうしても明け方近くまで見続けてしまうことが。結局「やめたくても、スパッとやめられない」と悩んでいました。こんなときは、どうしたらいいのでしょうか?
DさんにもEさんにも、「そんなときは、無理にやめなくてもいいですよ」と、私は伝えました。「だらだらスマホ」をやめようとすればするほど、ついやってしまうのには二つ理由があります。
一つは、「脳は否定形を理解できない」から。
では、一つ試してみましょう。突然ですが、次の文章を読んでみてください。
「ピンクのスマホを、想像しないでください。」
あなたは今、何を思い浮かべましたか?
やめられないという罪悪感は手放そう
「ピンクのスマホを、想像しないでください」
この文章を読んだ瞬間に、「ピンクのスマホ」が勝手に頭の中に浮かんできたのではないでしょうか。
つまり、あなたが「今日こそ、だらだらスマホをやめよう」「いいかげん、スマホを手放さなきゃ」と思うたびに、脳は「だらだらスマホ」をしているあなたをイメージしてしまうのです。すると、脳は自動的に「だらだらスマホ」を実現する方向で動いてしまいます。どうしてもだらだらスマホをやめられないときは、無理矢理やめることをやめてみましょう。
やめられない理由の二つ目は、「人には気晴らし、ストレス解消、気分転換が必要」だから。
人間には、「ぼーっとする時間」が必要という場合があるのです。特に、ものすごく忙しかったり、締め切りやノルマなどでプレッシャーのかかった日は、バランスを取るために、一定の息抜きをする時間、ぼーっとする時間が必要になります。一見、無意味、無駄なことをする行為がバランスを取っているのです。
もちろん、散歩、早寝、趣味、マッサージ、家族や友人との会話などで気分転換できれば、健康にもいいですし、理想的。でも、心身ともに疲れきってしまったときなどは、理想的な気分転換やリフレッシュをする余裕すらないということもあるでしょう。そんなときに、「だらだらスマホ」を無理矢理やめても、結局別の方法でストレス解消することになってしまいます。
そういうときは、どうぞ、堂々と「だらだらスマホ」をしてください。
そうはいっても、だらだらスマホを見てしまうと、寝不足になってしまったり「また今日も、だらだらしてしまった」という罪悪感から、自分にうんざりしてしまう方もいるかもしれません。実は、そんな悪循環から抜け出す方法があるんです。
100均にも売っている あのアイテムを使おう
それは、「時間を区切る」ということ。
私自身も私のクライアントさんも、「キッチンタイマー」を日常のなかでフル活用しています。「だらだらスマホ」もエンドレスでするのではなく「時間限定」で実行するのです。
ポイントはこの二つ。
・だらだらする時間を30分、1時間などと、事前に決めて、タイマーで計ること。
・タイマーが「ピピピ」と鳴ったら実行する「次のアクション」を明確にしておくこと。
先述のDさんの話を聞いてみると、昇級してチーム内の教育担当になったものの、思うようにいかないうえに新しい仕事も増えて、心身ともに疲れていました。彼女は、帰宅後に息抜きが必要な状況だったのです。そこで、新しい状況に慣れるまであと1カ月は「帰宅後1時間は、だらだらスマホOK」ということに。そして、キッチンタイマーが鳴ったら「お風呂に入る」と決めてみたのです。
実際試してみると、2回に1回は1時間ぴったりでやめられないことも。そこで、スマホのOFFタイマー機能を使い、1時間たつと自動的にスマホがスリープ状態になるように設定。すると「時間を区切り、堂々とだらだらスマホができるようになりました。1時間後にやめるときには気分がよくなっていることもあります」と、Dさん。
また、どうしてもだらだらスマホがやめられない日があると悩んでいたEさん。それはどんなときかと聞いてみると、仕事で失敗した日や夫婦喧嘩をしたときなど、Eさんにとって気分転換が必要なときでした。そこで「時間限定」を勧めてみたのですが、月に数日でもだらだらとスマホを見てしまう自分に落ち込んでしまうとのこと。
そんなEさんに、私の友人でバリバリ仕事をこなすFさんの話をしました。以前、私がだらだらスマホに悩んでいたとき、Fさんはこう話してくれたのです。「大きなプレゼンをした日は、頭が回転しすぎて眠れない。スマホで動画を流しながらぼーっとしたあと、やっと眠れるの。一見無意味に見えるけれど、このスマホタイムが私にとっては大事なのよ」と。
Fさんの言葉に感化されたEさんは、どうしてもだらだらスマホをやめられない日は「時間を区切る」ことで、割り切って実行できるようになりました。すると、「だらだらスマホをした自分を責めなくなり、寝起きもよくなりました」と教えてくれました。
1.「だらだらスマホ」をやめようとするのをやめてみる
2.時間を区切る (例 キッチンタイマーやスマホのOFFタイマー機能を活用する)
3.制限時間後に、やることを決めて準備しておく
いずれも1分あればできるので、ぜひ試してみてくださいね。

大平朝子(おおひら あさこ)
国家公務員試験に首席合格。裁判所書記官として、年間2000件の裁判記録を扱う中で問題解決のある法則を発見し、独立。教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、講演・研修を実施。無職だった夫をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など2300人以上の問題解決に携わる。現在は、愛する二人の息子の育児をしながら、夫であるプロコーチ大平信孝のスクール「株式会社アンカリング・イノベーション」のマネジメントも行う。著書に夫婦初共著となる「ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣」(サンクチュアリ出版)。
[nikkei WOMAN Online 2016年10月11日付記事を再構成]