「イーストウッドは偉大な監督」 T・ハンクス会見
クリント・イーストウッド監督(86)の新作映画「ハドソン川の奇跡」(24日公開)に主演した俳優のトム・ハンクス(60)と相棒役を演じたアーロン・エッカート(48)が16日、来日記者会見を開いた。映画俳優として36年のキャリアを持つハンクスだが、イーストウッド監督作品への出演は初めて。「彼(イーストウッド)は偉大な俳優で監督。とりわけ監督になってからの作品は素晴らしく、2001年以降の今世紀を代表する名作映画のうち5、6本は彼の作品だと思う」と語った。
映画は2009年1月、厳寒の米ニューヨークで実際に発生した飛行機事故をもとに描いた。離陸したばかりの飛行機のエンジンが、鳥の群れを吸い込み、すべて停止。機長のサリー(ハンクス)は制御不能となった飛行機をハドソン川に不時着水させることを決断し、副操縦士のジェフ(エッカート)と共に乗客乗員155人全員の命を救う。世の中が奇跡的な救出劇に熱狂する裏で、事故調査委員会から「不時着水の判断は正しかったのか」と疑われ、サリーとジェフは公聴会に呼び出されていた。映画は命を預かる重責と仕事への誇りをかけたサリーとジェフ、救出に向かった人々らを巡る人間ドラマだ。
実際の事故の一報をテレビのニュースで知ったというハンクス。「あの事故に(公聴会が開かれていたという)私たちの知らない事実が隠されていた。映画ではどう解釈されるのかに興味があった」と出演を決めた理由を語る。「これは実際に起きた事故。私たちが今回の映画の仕事をするうえで大事なことは、あまり飾り付けしないこと。できる限り正確に描こうと細部にこだわった。真実のDNAがちゃんと映画に含まれているかどうかが大事だったんだ」と語る。機長本人に会い、脚本に書かれていることすべてを確認したという。
副操縦士を演じたエッカートはイーストウッド監督について「彼は私のヒーロー」と語る。とりわけ撮影初日の光景は今も鮮明に覚えているという。「ハドソン川で撮影したが、あいにくの雨。だが監督は雨をよけることもせず、帽子とウインドブレーカー姿で一日中私たち俳優のそばにいて演出してくれた。監督の姿が、俳優にとってとても力になった」と振り返る。ハンクスも「監督は俳優によって映画が作られることを理解し、私たちに期待し、大切にしてくれた」と話した。
会見には事故機に搭乗していた2人の日本人客の滝川裕己さん(50)と出口適さん(43)がゲストとして登場。脱出後、機内に残した所持品の行方を知りたがっていたハンクスの疑問に、「スーパーの会員券までちゃんと戻ってきました」と無事、荷物が所有者に戻ってきたエピソードを披露した。
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