X JAPAN、GLAY…日本最大ビジュアル系フェス開催
日本最大のビジュアル系音楽フェス「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten」(以下、VJS)が10月14~16日の3日間、千葉・幕張メッセで開催される。今回初めて開催されるVJSが画期的なのは、第一線級の新旧ビジュアル系バンドが一堂に会することだ。
X JAPAN、LUNA SEA、GLAYという、デビューから20年以上がたち、J-POPの歴史を築いてきたベテラン3組に加え、ゴールデンボンバーをはじめ若い世代に支持されているバンドの出演も決定。最終的には数十アーティストが参加することが発表されている。
特にX JAPANは、1月にギタリストのPATAが緊急入院して以来活動を一時休止していたため、これを機に活動を再開。実に24年ぶりとなる「エクスタシー・サミット」という伝説のイベントもフェス内で復活させる。
そのためファンからの注目度は高い。各バンドのファンクラブ先行発売の時点で、全チケットがソールドアウト。急きょ会場の収容人数を拡大して、一般販売に対応するという事態まで起きている。動員規模は約10万人を見込んでいるという。
楽天が主催となりサポート
このフェスを発案したのは、X JAPANのリーダー、YOSHIKI。7月25日に開かれた記者会見では、「ビジュアル系を世界に発信していくプロジェクトになる」と、海外を強く意識したフェスであることをアピールした。
ビジュアル系とは、特定のサウンドを意味するものではなく、メイクや衣装などの視覚で独特の世界観や様式美を表現したアーティストを表す、日本オリジナルの音楽ジャンルかつカルチャーだ。YOSHIKIは、約20年間の海外生活を通して、「ビジュアル系に影響されて音楽を始めたバンドが、北米、南米、欧州などで次々と生まれている」という状況を目の当たりにして、ビジュアル系をもっと世界に広げたいという思いを強めたという。「フェス自体を、海外に発信していくという試みはあまりなかったのではないか」と言うように、今回は海外でのライブビューイング開催や海外在住のファン向けのチケット販売という新しい施策にも積極的に取り組もうとしている。
VJSは、企業とのパートナーシップにも新しい試みがある。「Powered by Rakuten」と銘打たれているように、IT企業の楽天がサポート。楽天は、東北楽天ゴールデンイーグルスの運営や、楽天ジャパンオープンテニスへの協賛などスポーツへの取り組み実績はあるが、音楽イベントに本格的に関わるのは初めて。
音楽フェスでは、企業は協賛という名目で、広告宣伝の一環として関わるケースが多い。だが今回の楽天は、主体となって合同会社を設立して主催に加わり、事業として音楽イベントに取り組む構えだ。運営する国内最大級のECモール楽天市場の人気店舗に会場内に出店してもらうなどのアイデアも検討しているという。
しかし、そうした既存事業との相乗効果に増して、「ビジュアル系という日本発の世界に通じるカルチャーを、グローバルに広げていこうというYOSHIKIさんの思いに共感した。VJSだけでなく、今後も継続的にサポートしていきたいと考えている」(楽天・広報部)。YOSHIKIと楽天の三木谷浩史社長が旧知の仲だったことが発端だが、VJSも楽天もグローバル展開を強く意識しており、そこで両者の理念が一致した。
史上最大のビジュアル系の祭典VJSは、ビジュアル系を日本独自の文化として世界に発信していく、大きな一歩となりそうだ。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2016年10月号の記事を再構成]
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