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育休延長の波紋 賛成派・慎重派に聞く

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NIKKEI STYLE

育児休業制度が法制化され、四半世紀がたとうとしている。子育てしながら働ける環境整備に育休は大きく寄与した。だがなぜ今、育休の延長が議論されるのか。賛成派と慎重派のそれぞれの意見を聞く。

申込時期分散、待機減る 山崎孝明・東京都江東区長

――育児休業の延長を強く説いていますね。

「4月に厚生労働省が待機児童の多い自治体の首長を集めて緊急会議を開いた。そのときに育休期間の延長を提案した。保育コストは子どもの年齢が幼いほど高くなる。例えば江東区では0歳児1人を保育園で預かるのに約40万円の公費をかけている。育休を長く取れれば0歳や1歳の保育ニーズは減る。その分の予算や保育士を有効配分できれば保育の受け皿も増やしやすくなる」

「理想は育休3年。原則1年の現状の仕組みだと、子どもが1歳になった時点で保育園に入りにくいので0歳時点の年度初めに入園申請が集中している。申込時期が分散すれば待機児童も減る」

――待機児童の解消は行政の役割ではないのですか?

「江東区はここ10年で99カ所保育園を整備した。毎年1000人分の枠を増やす計画も立てている。だが今年4月1日時点の区の待機児童数は277人に増え、過去最多レベル。今年度も公園用地を使って新設するなど1000人分を確保した。でも新しくつくっても新たな利用ニーズが生じ、待機児童は減らない。自治体としてやるべきことはやっていくが、子育て社員を雇っている企業も、相応の責任を負うべきだ」

――人口が減っていくなかで女性活躍推進は日本の将来に欠かせない。育休の長期化はキャリア形成を妨げ、女性の活躍推進に逆行するという指摘もある。

「確かに今後日本で女性の活躍は欠かせない。働きながら子育てできる環境を社会が整える必要もある。ただ私の考え方が古いのかもしれないが、子どもの成長に母親は大切。女性活躍よりも、子どもをしっかり育てることの方が日本の将来には重要だと思う」

男女の能力差、開く恐れ 大内章子・関西学院大学准教授

――育休の長期化はキャリア形成に影響しますか?

「ビジネス環境の変化は著しい。少しの間でも技術や組織はすぐに変わる。長期間休めばスキルは陳腐化し、仕事での貢献が難しくなる」

「厄介なのは、子育て期が組織の人材として能力が伸びる時期と重なることだ。就職後に一通り仕事を覚えて『さあ、これから』という年齢で女性は結婚・出産を迎える。本来なら脂が乗りきって仕事で成果を上げられる時期に育休でブランクが生じると、実際に休業した時間的な長さ以上の差が男女につく」

――育休の取得可能期間を延長しても、どの程度休むかは個人の選択。働く女性全体に影響はないのでは?

「育休は男女にかかわらず取れる権利だが、事実上、妻が圧倒的に取得している。こうした性別役割分担を背景に生じる間接的な影響は女性全体に及ぶ。長期の育休を取る可能性がある女性と育休を取る可能性が低い男性。会社はどちらを大切に育てようとするか。人材育成投資が無駄になるリスクが低い男性を優先的に育てる。育休が延長されたら、成長につながる仕事は男性により配分されるようになり、結果的に男女の能力差が今より開く恐れがある」

――女性活躍を進めるためには、仕事と子育ての両立環境を一層整える策が必要ではないか。

「低年齢児にかかる保育コストと人手を考慮すると、待機児童対策として育休を延長しようという主張も理解できる。でもその場合、夫婦それぞれに1年ずつ、合計で子どもが2歳になるまで取得できるようにするなど、女性だけに負担が偏らない制度を考えるべきだろう。女性の活躍推進を本気で実現したいなら、仕事に全く関わらない期間をできるだけ減らす工夫が両立支援には必要だ」

◇    ◇    ◇

やさしいばかりでは両立しない

女性活躍推進を掲げながら、ときに政府はちぐはぐな一面をみせる。2013年にも「3年間抱っこし放題」を掲げ、3年育児休業の自主的な導入を経済界に求めた。だが女性の反発もあり、立ち消えになった。待機児童は今年4月1日時点で2万3553人と2年連続して増えた。育休延長は0歳児の保育園利用を抑える効果などが期待できる半面、副作用も考慮しなければいけない。

英国の社会学者キャサリン・ハキム氏は女性を(1)仕事型(2)家庭型(3)適応型――に分ける。(1)と(2)はそれぞれ仕事や家庭が最優先。仕事型は男性優遇の職場でも全力で働き、家庭型は仕事のチャンスをお膳立てされてもなびかない。両タイプは女性の2割ずつを占め、残る6割が適応型。彼女たちは経済環境や法制度に応じて仕事重視にも家庭重視にも行動形式を変える。ハキム氏の理論を借りれば育休延長は女性の多数派である適応型を家庭へと誘導する。女性にやさしいばかりでは女性活躍推進は遠ざかる。

(編集委員 石塚由紀夫)

[日本経済新聞夕刊2016年9月6日付]

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