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鑑賞術

篠山紀信×壇蜜 原美術館を「快楽の館」に

2016/9/4

壇蜜さんと篠山紀信氏

写真家の篠山紀信氏が美術館を“裸体”ばかりのなまめかしい空間に変えた。東京・品川の原美術館で3日始まった個展はその名も「快楽の館」。33人のモデルを使った全77点を展示。すべてヌードの新作、しかも全作を同館の建物内や庭で撮り下ろしたもので、長い経歴を誇る篠山氏も初の試みという。

作品の中の女性たちは、チケット売り場の横で開脚跳びをし、中庭でポールダンスを踊り、柱にしがみつき、苔(こけ)むした地面に横たわる。ほとんどの作品が撮影されたのと同じ場所に展示されているため、鑑賞者は作品の時間と現在が1つの空間でシンクロする不思議な感覚にとらわれる。

2日に開かれた内覧会には、モデルの一人となった壇蜜さんも登場し「篠山さんに止めてもらった時間と空間にとどめをさす気持ちで参加した」と撮影時を振り返った。ふだんはグラビア撮影が多いだけに、今回のように「自分の体より大きなサイズの作品で体を見せられるのは光栄なこと」。

「あなたにとって快楽とは何ですか」との記者からの質問には「表に出しちゃいけないもので、快楽の視点はみんな違う。わたしの場合、明日休みだから目覚ましをかけないで眠れるとき。きっと甘ったるい顔していると思います」とかわして、艶然とほほ笑んだ。

快楽とは「表に出しちゃいけないもの」と話す壇蜜さん

「原美術館から建物を自由に使っていいというありがたい話があり、どうせだったらここでヌードを撮りたいと考えた」と篠山氏は企画の経緯を語る。同館は1938年に建てられた個人の古い邸宅を改装した、由緒ある現代美術館。「空間的にも魅力的な場所。ここで撮ってここへ返すというコンセプトにしたかった」という。

80年代に自身が発明した「シノラマ」(篠山+ジオラマの造語)も復活させた。たとえば3人のモデルを使い、カメラを横に振りながら1部屋を4カットに分けて撮影、1枚につなげた横長の作品は、都合12人の女性がこちらを見つめている。名付けて「二十四の瞳」。印刷メディアでは味わえないパワーに、改めて写真の可能性を感じた。

「空間力対写真力のバトルが面白い」と企画意図を語る篠山紀信氏

「空間力対写真力のバトルがやりたかった。それが本当に面白くてどんどんアイデアがわいた」と篠山氏。箱根彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)でも今月17日から個展が予定されている。75歳とは思えないベテランの旺盛な創作力が美術館に挑んだ「最初で最後の試み」は、1億総写真家の時代にどう受け止められるだろう。「快楽の館」展は2017年1月9日まで。

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