その怒りがなぜ起こるかを探ると、自分の「こうあるべき」と思う価値観が思い通りにならなかったときに、怒りを感じるのではないでしょうか。「メールはすぐ返信するべき」「電車の中ではリュックは前に抱えるべき」など、人によって「こうあるべき」の内容や程度は違います。
今日のような研修で「時間を守るべき」といった場合、時間ぴったりに着いた人がいたとします。自分と同じ基準だと感じる人もいれば、許容できないという人もいるでしょう。自分の「怒る・怒らない」の境界線を明確にしてください。
その上で、まずは同僚や友人に「私は5分前に来てほしい」などと、具体的に知らせてください。また、自分と違う考え方の人がいても、「そういう価値観なんだ」と受けとめられる「心の器」を広げる努力も大切です。
新入社員研修で、「電話は積極的に出ましょう」と言ったら、「何で?」と聞かれました。家族の携帯に勝手に出ないのと同じで、職場でも出てはいけないと感じていたのです。ここで新人に「会社の電話は出るのが当たり前だ」といきなり怒るのではなく、「家と違って会社の電話は出てください」と伝えることが重要です。それと、その日の機嫌で許容範囲を広げたり狭めたりしないことも心がけてください。
「怒りのピーク」は6秒、数値化してやり過ごす
では、カッとしたときに役立つと思える方法を紹介します。
1つは「怒りのピークは長くて6秒」です。激高するような怒りでも、6秒をやり過ごせば怒りに任せて衝動的に行動しにくくなります。やり過ごすテクニックとして、怒りを数値化する方法があります。0がまったく怒りを感じない、10を人生最大の怒りとして、今の怒りがどの数字かを考えます。数字に意識を向けている間に6秒たつのですが、これはトレーニングが必要です。
もう1つが、「自分の力でコントロールできるか」を考える手法です。例えば、「何で今日はこんなに暑いの?」と思っても、天気は変えられないので「まあしょうがないか」と気持ちを切り替えられます。一番いけないのは、どうにもならないことについて願い続けたり、呪ったりすることで、不要なストレスを抱え込んでしまいます。