BIGBANGでノウハウ蓄積 YGの新スター育成戦略K-POP新世代ファイル(1)

日経エンタテインメント!

続々と若手が登場し、ファンの年齢層も若返っているK‐POP市場。新世代の人気者と、 人気の理由を分析する。今回登場するのは、YGの所属アーティストたちだ。圧倒的な動員力のBIGBANGと、その弟グループで、メロディアスな楽曲も得意なWINNER、同じく10代~20代メンバーで構成され、ワイルドな魅力のiKONの人気ぶりを紹介する。

『BIGBANG/ビッグバン』写真右からD-LITE、T.O.P、SOL、G-DRAGON、V.Iの5人組。ヒット曲のほとんどを作詞・作曲・プロデュースするG-DRAGON。SOL、D-LITE、V.Iの歌唱力、そしてT.O.Pの低音とG-DRAGONのハイトーンなラップが特徴

BIGBANGは15~16年に実施したドームツアー「BIGBANG WORLD TOUR 2015~2016 [MADE] IN JAPAN」(東京・大阪・名古屋・福岡、計18公演)に、累計91万1000人を動員。海外アーティストとして史上最大級の来日ツアーとなった。2016年で韓国デビューから10周年の彼らは、それを記念し、7月に大阪で初のスタジアム公演を実施。3日間で16万5000人を動員した。日本のK‐POP界で最も集客力を持つBIGBANGの日本での認知度を全国レベルに高めたYG ENTERTAINMENT JAPAN代表取締役社長の渡邉喜美氏に話を聞いた。

ファッショナブルなYG

2008年のツアーに8500人を動員して以来、着々とファン数を増やし続けた。2015~16年のツアーでは91万1000人を集め、100倍を超える伸びを記録

「YGは、ファンがスタイリッシュでカッコいい」と胸を張る渡邉氏。それは、所属アーティストのどんな魅力によるものなのか。ヒップホップからバラードまで、歌とダンスでファンを魅了するBIGBANGだが、さらに、そのファッションも特徴的。「歌を知らずに、ファッション誌などで着こなしを見てファンになる人も多いです」(渡邉氏、以下同)という。

所属アーティストの全てをプロデュースしているのが、YG ENTERTAINMENTのヤン・ヒョンソク代表プロデューサー。韓国の国民的な音楽グループのメンバーだった彼は、音楽やダンスだけでなく、ビジュアル面でも独自のコンセプトを打ち出し、YGブランドを強固なものとしている。そんな彼が徹底してこだわった歌手たちの着こなしに、感度の高い日本のモデルや業界人が注目。彼らが公演に足を運ぶようになり、今や、YGアーティストたちのライブ会場は、歌やダンスだけでなく、ファンそれぞれが自分なりの着こなしでファッションも楽しむ場になっている。メンバーと同じ服を着たいというファンの要望を取り入れ、日本でのアパレル展開も始まった。

『WINNER/ウィナー』2014年9月に日本デビューした5人組。ボーカル3人、ラップ2人でアップテンポからバラードまで、歌とダンスの実力に高い評価を得ている

BIGBANGの韓国デビューから10年、日本での活動も約8年となり、最初は母親と一緒にライブに来ていた小学生たちが中高生に。そんな若い世代が夢中なのが、WINNER、iKONら新世代グループだ。「韓国でも日本でもグループが脱退メンバーを出さずに10年続け、その人気を高め続けることは非常にレアなことです。BIGBANGの功績で、アーティストもファンも、新しい世代が生まれました」。

16年に日本で発売されたアルバムのセールス枚数が12万枚を超えているBIGBANGに対し、iKONは6万枚超、WINNERは3万5000枚超(いずれもオリコン初週売上枚数)と、まだまだ伸びる余地がある。一方、彼らYGアーティストが今、中国で大ブームになっている。「その人気は日本のレベルを超えており、コンサートや、歌番組、ドラマ、映画、CMなど多方面です」。

次のBIGBANGも人気

『iKON/アイコン』2016年1月に日本デビューした7人組。海外アーティスト史上、デビュー後最速で日本武道館公演を実現。その模様を収録したLIVE DVD&Blu-rayが発売中

しかし渡邉氏が「ファンと触れ合うため、これだけは日本で続ける」と語るのが、コンサートだ。iKONは16年の日本初のツアー(全国5都市14公演)に14万6000人を動員、WINNERも同年(4都市9公演)で3万6000人を動員した。渡邉氏によると、WINNERはヒップホップをベースに、どこか懐かしいメロディーの大人向けの楽曲も得意とし、「スーツが似合う感じ」で大人の女性にも人気。一方、iKONは「やんちゃな男の子たちの集まり」で、ファン層は圧倒的に若い。

「今どきの中高生は幼い頃からYouTubeを見て育ちました。そんな彼らに向けて、韓国でアーティストのPVを全編公開するなど、YGは早くからネットを駆使したプロモーションに力を入れてきました。今ではネット上にいろんな映像が上がっていますが、歌とダンスに優れたBIGBANGで育った若い子は、目が肥えていますので、音もファッションもハイレベルを求めます。YGはこれまでも、納得がいく楽曲がそろわないと何年もアルバムを出さないできました。その質へのこだわりは、ますますYGの強さを際立たせると思います」

(日経エンタテインメント! 白倉資大)

[日経エンタテインメント! 2016年7月号の記事を再構成]

今週はK-POP特集。5回連続でK-POP新世代を紹介します。
9月20日(火)テミン(SHINee)
9月21日(水)BIGBANG、WINNER、iKON
9月22日(木)Boys Republic/少年共和国
9月23日(金)Apink【研究編】
9月24日(土)Apink【インタビュー編】