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持ち家か賃貸か 本当に考えるべき条件は?

2016/8/18

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 住宅ローン金利は史上最低の水準。長期固定金利ローンの「フラット35」は0.9%と、35年固定で1%を下回る金利も見受けられます(8月の適用金利)。「だったら賃貸住まいのまま家賃を支払い続けるより、マイホームを買ったほうがお得かしら」と悩んでいませんか? 「持ち家」と「賃貸」のどちらにするか選択する際のポイントと、買うと決断をした場合の留意点をお伝えします。

■持ち家なら老後の住居費の負担が減る

 「持ち家と賃貸、どちらが有利か」は、ライフプランを考えるにあたっての“永遠のテーマ”でもあります。まずは下の表でそれぞれのメリット・デメリットをチェックしましょう(一般的にマイホームは住宅ローンを組んで購入するので、それを前提にメリットとデメリットを挙げています)。

 双方のメリット・デメリットのバランスを計り、自分(と家族)の考え方にフィットするのはどちらかを考えるわけですが、不動産に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは次のようにアドバイスします。

 「持ち家なら住宅ローン、賃貸なら家賃と、どちらも住居費の支払いは必要ですが、最大の違いは持ち家は資産として残ること。定年もしくは年金生活に入るまでに完済できるローンを組んでいれば、老後の住居費はマンションなら主に管理費・修繕積立金と固定資産税となり、負担はぐんと軽くなります。また老後に高齢者向けの住宅に住み替えを考える場合、持ち家を賃貸に出してその賃料で高齢者住宅の家賃を支払うということも可能になり、選択肢が広がります」

■賃貸を貫くなら、老後の住居費を厚めに準備

 一方、賃貸の場合は更新料なども含めて一生家賃の支払いが続きます。「その分、老後資金を多く準備する必要があります。よく老後資金の試算をする際に、総務省統計局の家計調査のデータが使われます。65歳以上の世帯(2人以上)の支出は月に約25万円で住居費は約1万6000円(2015年)。住居費が月1万6000円というのは持ち家でも難しい場合があるので、賃貸ならなおさら。ですから賃貸派は、こういうデータを基にした老後資金の試算より、多めの金額を準備する心積もりでいましょう」(風呂内さん)

 ライフスタイルの変化に応じて住み替えたい、一つのところに定住するのは性に合わない、地震のリスクを考えるとマイホームの購入はためらわれるというといった理由で賃貸派を貫こうと思っている人は、早いうちから老後資金作りに着手する必要がありそうです。また、「現状では高齢者は部屋を借りにくいという面もあります」。

■本当に買う必要があるか、理由を書き出して検討

 だいぶ「持ち家」に心が動いてきた人もいるかもしれません。とはいえマイホームの購入は住宅ローンという大きな借金を抱えることでもあり、慎重に判断すべきです。老後の安心も大事ですが「現在、本当に持ち家が必要なのか、よく考えてみましょう。購入する理由を書き出して、購入の際に自分がどういう行動をとりそうか想像してみると、賃貸のままがいいという結論が出る場合もあります」(風呂内さん)。

 例えば、単純に家賃の支払いがもったいないから購入しようというケース。「購入後の住居費の負担を現状の家賃の範囲以下に収めないと、今より家計が苦しくなってしまいます。でも、いざ購入となるとあこがれの生活をかなえてくれそうな物件に目がいき、勢いで高額な物件を買ってしまうことも。賃貸のままのほうが家計が楽で貯蓄もたくさんできたということになりかねません」

 子供の勉強部屋が必要になったから広いマイホームを購入しようというケースもありがち。「広い家が必要な期間は、子供が社会人になるまでの10年間ぐらいかもしれません。広い物件は高額になりますし、家賃が高くなることから将来、賃貸の借り手もつきにくいという面もあります。本当に買うべきか時間をかけて考えて、疑問がわくなら踏みとどまったほうがいいでしょう」

■売却したり賃貸に出しやすいのは30~60平米の物件

 現状も老後も見すえた上で買うと決断した場合、留意しておきたい点を挙げましょう。「先ほども挙げた、家賃がもったいないから買うという場合ですが、『毎月の家賃=毎月のローン返済額』としてはダメです。たとえばマンションを購入した場合、ローンのほかに管理費・修繕積立金が毎月かかり、固定資産税が年1回かかります。それらの負担を考えると、ローン返済額を今の家賃より2万~3万円程度抑えないと、家計が苦しくなったり貯蓄ができなくなったりします」(風呂内さん)

 また、いま超低金利だからと購入を焦る必要はないと風呂内さん。「マイホームの買い時を考えるとき、皆さん物件価格の動きや金利を気にしますが、それらは外的要因で、よければラッキーぐらいに考えておけばいいこと。それより重視すべきなのは内的要因です」。内的要因というのは、シングルで過ごすのか結婚するのか、働き方をどうするのか、どの程度の広さの物件が必要か、健全な資金プランを立てているのかといった「自分の都合」のこと。これらが決まって整ったときが買い時です。「目的にかなった物件に出会うためには、3年ぐらいかけて気長に探しましょう」。時間をかけることで物件を見る目も養われ、失敗のリスクが低くなります。

 老後にマイホームを売却したり、賃貸に出すということを意識するなら、それに向く条件についても少し頭に入れておきましょう。「東京23区内のマンションなら、広さが30~60平米程度で駅から5分以内の立地のいい物件を買うと、将来売却や賃貸に出しやすいと思います。売却するなら3LDKや2LDKが売れ筋。共働きなら60平米ぐらいを狙うのが成功しやすいパターンでしょう。賃貸の場合、家賃が10万円を超える物件は借り手がつきにくいので、1LDK以下などコンパクトな部屋が貸しやすいですね」

(構成 日経BPコンサルティング 「金融コンテンツLab.」、ライター 萬 真知子)

[参考]
 日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(http://consult.nikkeibp.co.jp/sp/money/)は、難しくなりがちなお金の話題を、分かりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信に当たっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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