格安SIMの価格勝負 DTIとDMMはどちらが安いか
大手携帯電話会社よりも通信料金が安い「格安SIM」。格安SIMはインターネットプロバイダーをはじめとした数多くの通信会社が提供しており、激しい競争が繰り広げられている。
特に目を引くのは料金プランの最安値競争だ。事業者は、他社の料金を横目で見ながら値下げ競争を繰り広げている。
2016年7月時点では、格安SIMで人気がある月3GBのデータ容量の場合、主要サービスのなかではDTIが提供する「DTI SIM」が最も安い。月額料金は音声通話SIMが1490円、データ通信SIMは840円だ(税別、以下同)。
そんなDTI SIMから「使い放題」をキーワードにした2つのサービスが登場した。1つは、データ通信が使い放題の料金プラン(月額料金は音声通話SIMが2900円、データ通信SIMが2200円)。もう1つは、各通話の最初の5分間が定額になる通話定額オプション「でんわかけ放題」(月額780円)だ。
DTI SIMは、どれくらい得なのだろうか。「業界最安値水準」をかかげ、他社の動向に合わせて値下げを続けるDMM mobileとDTI SIMを比較し、そのお得度をチェックしてみた。
使い放題プランは速度制限なし
まずは料金プランを見てみよう。下の表に、DTI SIMの料金プランを音声通話SIMとデータ通信SIMごとにまとめた。
DTI SIMはNTTドコモのネットワークを利用する。下り最大通信速度は225Mbpsで、データ容量を使い切ると200kbpsに制限される。音声通話SIMの通話料金は、30秒当たり20円の従量制だ。
データ容量は月1GB/月3GB/月5GB/使い放題の4種類が用意されている。先に述べたように、月3GBのプラン(音声通話SIMは月額1490円、データ通信SIMは月額840円)は、主要な格安SIMの同容量の料金プランにおいて最安値となる。
なお、データ通信SIMの月3GBのプランでは、最初の6カ月間の月額料金が無料になる「データ半年お試しプラン」が2016年8月時点で提供されている(通常のプランと違い、無料期間中は余ったデータ容量が繰り越されない)。
目玉となる使い放題プラン(音声通話SIMは月額2900円、データ通信SIMは月額2200円)では、毎月のデータ容量だけでなく、「3日間で○GBまで」のような短期間のデータ通信にも容量制限がない。ただし、他のユーザーの平均的な通信量を著しく上回った場合、一時的に通信速度が遅くなる場合があるとされている。
月額780円の通話定額オプション「でんわかけ放題」にも注目だ。でんわかけ放題を契約すると、各通話の最初の5分間が定額となる。ただし、5分を超えた分の通話料は、未契約の場合と同じ30秒当たり20円がかかる。
月3GBの料金プランとでんわかけ放題を最初から組み合わせた「でんわ定額プラン 3GB」も提供されている。月額料金は2270円だが、最初の6カ月間は1480円に割り引かれる。通常の月3GBのプランよりもさらに10円安い(ただし、最初の6カ月間はデータ容量が繰り越されない)。
この他にも、留守番電話(月額300円)、キャッチホン(月額200円)、転送電話(無料)といった、音声通話向けのオプションサービスが用意されている。データ通信SIM向けには、SMSオプション(月額150円)も提供されている。
また、スマホを1年間レンタルできる「スマホレンタル」オプションを用意しているのがユニークだ。1年たった時点で「別のレンタル機種に乗り換え」「一括価格で買い上げ」「もう1年間レンタルを継続」のいずれかを選べる。2016年7月11日時点では、Appleの「iPhone 6s」16GBモデル(スペースグレイ)を提供。レンタル料金は月額3600円となっている。
11GB以上ではDTI SIMの使い放題プランが安い
それでは、料金プランを比較してみよう。下の図と表に、データ容量1GBごとに双方の料金プランの月額料金をまとめた。なお、DTI SIMは青と緑、DMM mobileは赤と茶で色分けしている。なお、比較しやすくするために、最初の6カ月間割引が受けられる「でんわかけ放題プラン 3GB」と「データ半年お試しプラン 3GB」については、ここでは除外した。
月額料金を比べると、データ容量が月3GB台と月11GB台以上、および音声通話SIMの月1GB台の範囲において、DTI SIMの方が安い。
特に、DTI SIMの使い放題プランがカバーする月11GB以上の価格差が顕著だ。DMM mobileの月15GBのプランに対して、音声通話SIM・データ通信SIMともに月額で1400円、月20GBのプランに対しては音声通話SIMが3080円、データ通信SIMは2780円安い。
その他のデータ容量ではDMM mobileの料金プランがおおむね安いが、大きな差ではない。月6G~8GB台の範囲ではDTI SIMに対して月額で220~340円安い。月4G~5GB台と月9G~10GB台もDMM mobileが安いが、差額はわずか10円だ。
DMMには留守電とキャッチホンがない
続いて、オプションサービスを比較してみよう。
通話料が安くなる割引オプションは、双方ともに提供している。前述のように、DTI SIMは各通話最初の5分間が定額の「でんわかけ放題」(月額780円)を提供する。
一方、通話定額オプションではないものの、DMM mobileは通話料が半額の30秒当たり10円になる月額無料の割引サービス「DMMトーク」を提供している。どちらが得かは1回の通話時間に左右される。
この他の大きな違いは、留守番電話とキャッチホンの有無だ。DMM mobileでは、どちらのオプションも提供されていない。留守番電話が不可欠という人は、DMM mobileは選びづらい。
ライトユーザーとヘビーユーザーはDTIが安い
データ通信と音声通話の「ダブル放題」をアピールするDTI SIMは、「業界最安値水準」を掲げるDMM mobileと同等の安い料金プランを提供している。
特に、毎月のデータ通信量が月3GB台および月11GB台以上の範囲では、DMM mobileよりも安い。一方、毎月使うデータ容量が6G~10GBの人は、DMM mobileのほうが通信料は安くなるだろう。
音声通話を重視する人にも、DTI SIMがおすすめだ。5分以内の短い通話が多い人は、DTI SIMのでんわかけ放題で通話料を抑えられる。
(ライター 松村武宏)
[日経トレンディネット 2016年7月13日付の記事を再構成]
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