時短は追求しない オイシックスの時短料理キット

日経トレンディネット

新商品の「たっぷり国産キャベツのメンチ」(292円)と「いつもと違う!フライ用4種の添え野菜」(376円)を挟んだハンバーガー(写真左)、週に1500食以上売れているという「たっぷりケールのチーズナッツサラダ」(637円、写真手前)、「彩り野菜と玉子の入ったごちそうスープ」(616円、写真奥)
新商品の「たっぷり国産キャベツのメンチ」(292円)と「いつもと違う!フライ用4種の添え野菜」(376円)を挟んだハンバーガー(写真左)、週に1500食以上売れているという「たっぷりケールのチーズナッツサラダ」(637円、写真手前)、「彩り野菜と玉子の入ったごちそうスープ」(616円、写真奥)
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有機野菜や無添加食品などの通信販売を行うオイシックスが、冷蔵総菜やカット済み野菜など時短調理関連の新商品を2016年6月23日に発売した。時短料理キットの新メニューや、電子レンジで加熱してすぐに食べられる総菜の取り扱いを増やす。「夏休みに合わせて子どもと一緒に楽しめるデザートキットや、友人同士の食事会などのちょっとしたおもてなしにも使える商品を多数用意した」(オイシックス担当者)という。

新商品は「スイーツKit」と「Set Oisix」の2種類に大きく分かれる。

「スイーツKit」は盛りつけるだけでカップデザートができるというもの。約20分でハンバーグや魚の煮付けなどの主菜と野菜中心の副菜を作れるとうたう「Kit Oisix」の新ジャンルになる。

カット済みの柑橘類とヨーグルトをカップに持って作る「盛るだけ!夏小夏のグラスケーキ」(961円)

「Set Oisix」は千切りキャベツと赤タマネギ、大葉など複数の野菜をセットにしたもの。揚げ物や肉料理の添え野菜としての活用を提案している。ニンジンやピーマンなど単品での取り扱いが中心だったカット野菜「Cut Oisix」のシリーズになる。

「サラダや冷やし中華に使える3種の野菜」(486円)。きゅうり、フリルレタス、トマトがセットされている。「ねぎ、生姜、みょうが、大葉4種の薬味」(268円)も新発売
発表会では東京・広尾の人気イタリア料理店「AcquaPazza」(アクアパッツァ)の日高良実シェフが監修した「日高シェフの雑穀ベビーケールサラダ」の調理体験会も開かれた

キット化したことで高付加価値野菜を求める層をつかんだ

大手ECサイトやコンビニエンスストアまでもがカット済み野菜や調味料を同梱した料理キットに続々と参入する一方、Kit Oisixの発売は2013年と宅配野菜専門業者としては遅めだ。しかし、発売開始から3年間で出荷は累計250万食となり、定期会員数も2016年には3万人に達したという。

1日の家事の中で「食事の支度」に一番時間がかかると答えた女性は50%以上に上る
前年に比べて定期会員数は2倍以上に増加

Kit Oisixが好調な理由について、同社の統合マーケティング室の奥谷孝司室長は「ニンジンが一本まるごと届いても、忙しい主婦の方は平日に調理する時間がなかなか取れなかったかもしれない。手軽に使えるキットを試したことでオイシックスに興味を持った人が多かったのではないか」と分析する。一般的に、食材の宅配サービスを日常的に使うのは共働きで可処分所得の高い層といわれている。キット化したことでこの層のニーズをとらえられたというわけだ。

Kit Oisixの調理手順書。写真付きでわかりやすく解説されている

一方、Kit Oisixの利用者の中には、週に2、3回パートに出るときだけに使うという人も多いそうだ。カット野菜を集めたSet Oisixを投入した理由はそこにあるという。「野菜売り場で少しだけ野菜を切ってくれたらいいのにと考えている人は少なくない。夕食のセットは不要だが、自分で作った肉料理に野菜をちょっとだけ添えたいというような需要が見込める」(奥谷室長)

“時短”だけを追求しない

20分で2品作れるというKit Oisixだが、ほかの料理キットとの大きな違いは、ネギやオクラ、キュウリなど、カットされていない野菜も同梱されていること。その理由について、オイシックスは「鮮度の問題」と説明する。

かぼちゃの角切りや薄切り、千切り大根などをそろえる。野菜の種類ごとにそれぞれの呼吸量に適した袋を使い、産地から顧客宅まで一貫して低温・冷蔵の状態を保ったまま流通させることで、カット後も鮮度を保てるようになったという

「野菜はカットすると鮮度が落ちる。鮮度を落とさないためには保存用の薬剤を使わなければならないが、農薬や合成肥料に頼らないなどの安全基準を掲げているオイシックスとして薬剤は使いたくなかった」(奥谷室長)。そんななか、鮮度を保ったまま保存できる袋を研究し、選定するなどして、2015年夏に販売を開始した。

今後も、鮮度が落ちやすい野菜はカットしない方針だという。「野菜を切る手間はかかるかもしれないが、料理のプロセスとして楽しんでもらいたい。キットの調理時間である20分が本当に短いかどうか考え始めると、スーパーで総菜を買ったほうが時短になるという結論に達してしまう。10分でも20分でもいいので台所に立って家族のために料理したいという人を応援したい」と奥谷室長は話す。

(ライター 樋口可奈子)

[日経トレンディネット 2016年7月6日付の記事を再構成]

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