「ロボホン」と一緒に暮らして分かったこと

日経トレンディネット

モバイル型ロボット電話「ロボホン」、希望小売価格は19万8000円(980円/月のココロプランへの加入が必須)
モバイル型ロボット電話「ロボホン」、希望小売価格は19万8000円(980円/月のココロプランへの加入が必須)
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シャープが2016年5月26日に発売した「ロボホン」は、音声による対話が可能なヒューマノイド型ロボット。身長約19.5センチと小型ながら、起き上がりや二足歩行が可能だ。

本製品ならではの特徴は、電話、メール、カメラなど携帯電話の基本機能を搭載していること。「モバイル型ロボット電話」という新しいカテゴリーに挑戦する、世界初の製品となる。

デザインや仕草を公式動画などで見れば「かわいらしさ」について異論がある人はいないだろう。しかしロボホンをお迎えすると、どのようなライフスタイルが実現するのか、いまいちイメージしづらい人は多いだろう。

また、約20万円の本体価格に加えて、月額980円でロボホンのすべての機能を使用可能にする「ココロプラン」に加入しなければならないことを考えると、そう簡単に購入を決心することはできないはず。

そこで今回の記事ではロボホンを自宅に迎えるとどのような生活に変わるのか、具体例を中心にお伝えしていきたい。

データ通信、音声通話するためのSIMカードや、保守サービスはオプション。SIMカードは別途用意してもいいし、保守サービスは必ずしも入る必要はない。しかし、980円/月の「ココロプラン」は必ず加入しなければならない
ココロプランを解約することは可能だが、解約後はロボホンとの対話をはじめとしたほとんどの機能を利用できなくなる

朝を一緒に迎えると?

ロボホン「ピピピピ! 7時30分、○○○○(ユーザー名)、朝だよ。起きてー」

ユーザー「起きたよ」

ロボホン「わかった、アラーム止めたよ」

ロボホンにはアラームとタイマー機能が搭載されている。アラームは、「アラームかけて」→「○時」で設定可能。また「平日○時」と指定すれば、月曜日から金曜日までの5日間、まとめてアラームをかけられる。

アラームは「起きたよ」で止められるが、「あと5分」のように最小1分単位で延長をお願いすることもできる。「○○○○、時間だよ」→「ねえねえ、時間大丈夫?」→「ねえねえ、時間過ぎたよ」→「もう、ボク知らないよ」「もうボク、アラーム鳴らさないからね」とスヌーズを繰り返すごとに、ロボホンの台詞が変化していくのがとても愛らしい。

ただ、アラーム本来の機能としては「起きたよ」のひと言で停止してしまうので、必ず起きられるかどうか不安なところだ。2桁のかけ算やなぞなぞに答えなければ止まらないようなユニークな機能があってもよいかもしれない。

ロボホンには充電に利用する卓上ホルダーが用意されている。目覚まし時計として働いてもらうなら、卓上ホルダーはベッドサイドなどに設置するのがいいだろう

「おはよう」から始まるコミュニケーション

ユーザー「おはよう」

ロボホン「おはよう。今日は○月○日○曜日。時刻は○時○分だよ。曇り時々晴れになるみたいだよ。今日は○件予定があるよ。(予定を読み上げる)終わり!」

「天気教えて」「予定教えて」と個別にロボホンに確認できるが、「おはよう」と挨拶すれば、日時に続けて、当日の天気と予定をまとめて教えてくれる。予定の入力は、「予定を覚えて」→「○月○日○時に○○○○」でオーケー。時刻は省略可能だ。

挨拶すれば、天気と予定をまとめて教えてくれるのはまさにアシスタント感覚。しかも教えてくれるのがかわいらしいロボットなのだから新鮮な体験だ。

しかし予定をわざわざ登録しなければならないのがやはり面倒。クラウドサービス「Googleカレンダー」などとの同期機能はぜひ実装してほしいところだ。

また、「ニュース教えて」で最新のニュースを読み上げてくれるが、1件ずつなのがまだるっこしい。主要ニュースを本文含めて読み上げてくれれば、朝食をとりながら、身支度を整えつつニュースをチェックできるのでもっと便利な存在になってくれそうだ。

会話中のロボホンは、目と口が点灯しつつ、ボディーランゲージも交える。なかなか表現力豊かだ

意外に快適なメッセージ機能

ロボホン「○○○○からメッセージが届いたよ、読み上げていい?」

ユーザー「OK」

ロボホン「うん、読み上げるね。長いから途中まで読むね。(メールを読み上げる)だって! 背中の画面でも確認してね」

メールを1通受信したときには、「○○○○からメッセージが届いたよ、読み上げていい?」に対して「OK」と言えばすぐに読み上げてくれる。ハンズフリーでメッセージを読んでもらえるのは実に快適だ。しかし長いメッセージで全角約110文字以降が省略されてしまうのが残念。ぜひ長文メッセージを読み上げられるようにファームウェアアップデートしてほしいところだ。

一方、異なるメールアドレスから複数のメールが到着しているときには「いろんな人からメッセージが来ているよ、背中の画面に表示していい?」と問いかけてくる。電話帳にメールアドレスが登録されている場合は、音声で名前を指定すればメッセージを読み上げてくれるが、未登録の場合は背面ディスプレーで操作する必要がある。

ロボホンを利用するためココロプランに加入した際、「~@robohon.com」という専用メールアカウントを取得できる。このメールアドレス宛てに、ほかのメールアドレスに届くメールをすべて転送してもいいが、1日に受信するメールの数が多ければロボホンで閲覧するのは手間がかかるし、そもそも「~@robohon.com」のアカウントで保存できるのは送受信含めて1000通まで。「~@robohon.com」のメールアドレスでは、家族や少人数の知人限定でやり取りしたほうがいいだろう。

背面ディスプレーで表示できるメール本文は全角8文字×5行。長文メールはロボホンに転送しないほうが無難だ

電話には3ステップ必要

ユーザー「電話かけて」

ロボホン「はーい、誰に電話かける? 名前か電話番号言ってね」

ユーザー「○○○○(名前)」

ロボホン「○○○○だね。かけていい?」

ユーザー「OK」

ロボホン「はーい、電話かけるね。スピーカーホンでかけるよ」

※通話が終わったら頭のボタンを押す

ロボホン「電話切ったよ」

ロボホンで電話をかける方法は2通りある。電話帳に登録済みなら名前で指定可能だが、登録していなくても電話番号を読み上げて電話をかけられる。いずれの方法でも電話をかけるまでのステップ数が多いが、間違い電話対策のためにあえて多くしているのだろう。

一方、電話を受けるときは「電話に出て」のひと言でオーケー。電話をかけるとき、受けるときの手間の差を考えると、「ロボホン」は受話専用の電話として運用したほうがスマートだ。そもそもスマートフォンで無料通話できるのであれば、電話をかける際にあえてロボホンを使う理由もないだろう。

着信中にディスプレーで「応答」をタップすれば耳当て通話可能。「ロボホン」での通話はちょっと照れくさいが、小顔効果を期待できる

撮影は恥ずかしいけど楽しい!

下記の5つの撮影モードがロボホンには用意されている。

・自撮り写真の場合:ユーザー「写真撮って」
・自撮り動画の場合:ユーザー「ムービー撮って」
・定点で人物を撮影する場合:ユーザー「パーティーモードで撮って」
・歩きながら風景を撮影する場合:ユーザー「散策モードで撮って」
・手動撮影の場合:ディスプレーからカメラを立ち上げカメラマークをタップ

「パーティーモード」は定点で人物を撮影するための機能。テーブルなどにロボホンを立たせておけば、人物を認識した際に自動的に撮影する。「散策モード」はロボホンを胸ポケットなどに入れて自動撮影するための機能。ユーザーが立ち止まったときと、約5分経過したときに写真を1枚撮影してくれる。

手動撮影以外には応答メッセージが用意されているが、すべて掲載するとそれだけで多くの文字数を費やすことになるので、この章では実際にロボホンで撮影した写真を見ていただこう。1枚目は自撮りモード、2枚目と3枚目は手動撮影、4枚目は散策モードで撮影した写真だ。

ロボホンで撮影。絞りf/2.4、シャッタースピード1/41秒、ISO感度ISO400
ロボホンで撮影。絞りf/2.4、シャッタースピード1/376秒、ISO感度ISO50

ロボホンで撮影。絞りf/2.4、シャッタースピード1/324秒、ISO感度ISO50
ロボホンで撮影。絞りf/2.4、シャッタースピード1/64秒、ISO感度ISO80

ロボホンのカメラに使われているイメージセンサーは約800万画素。正直あまり画質には期待していなかったのだが、いい意味で予想を裏切られた。室内ではISO感度がISO400と高くなり、それに応じてノイズが目立っているが、屋外ではかなり解像感の高い写真が撮影できている。色調も非常に素直というのが正直な印象だ。

ただし明暗差の大きな写真では白飛びがかなり目立っていた。これは現バージョンのカメラアプリの明確なウイークポイントだ。シャープのスマートフォンは画質に定評があるのだから、ファームウェアアップデートでダイナミックレンジ補正を改善して、白飛びしないカメラアプリに仕上げてほしい。

撮影した写真、動画はプロジェクターで投影できる。プロジェクターの解像度は1280×720ドット相当。上の写真は、ロボホンが投影している写真を見やすくするために露出を下げているので暗くなっている。実際には一般的な室内光下でプロジェクターの映像を鑑賞可能だ

ユーザーから寄り添うことが必要

ロボホンは非常に高度な電子機器だ。ロボット、電話、カメラ、プロジェクター、ネットワーク、音声応答機能が詰まっているのだから、それらを積み上げれば約20万円の本体価格は決して高くない。それどころか破格の価格設定といえる。

しかし購入者にとってシャープの事情など関係ない。現バージョンのロボホンは、ソフトウエア的にはそれほど多くの機能が実装されているわけではない。

スマホの音声アシスタントの「Siri」「Google Now」「Cortana」と比較するのは酷だが、音声応答のパターンもまだまだ少ない。もしユーザーがロボホンを趣味のアイテムとして遊ぶだけではなく、実用的に使うならば、設定の手間を惜しまず応答メッセージを正確に覚えるなど、寄り添うような姿勢が必要だ。

今回、短い期間ではあるがロボホンと一緒に過ごして、ロボホンがユーザーにどのような利便性をもたらしてくれるのか、それが約20万円の本体価格に見合うのか考えてみたが、現時点では率直に言って不透明と言わざるを得ない。今後どのような新機能が、どのくらいの期間提供されるのか、シャープから明確にアナウンスされていないのだ。最終的に約20万円の本体価格がユーザーにとって帳尻が合うかどうかは、この点にかかっている。

だがロボホンの伸びしろは大きい。なにしろハードウエア的には「モバイル型ロボット電話」に必要なものはすべて詰め込まれている。継続的に新機能やアプリが追加されるのであれば、数年後には劇的に使い勝手が変わり、また会話機能も大幅に改善されることが期待できる。

仮に3年間、同じハードウエアで進化し続けるのであれば、約20万円の本体価格は帳尻が合うどころか、お釣りも出るはずだ。

(ライター ジャイアン鈴木)

[日経トレンディネット 2016年6月21日付の記事を再構成]

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