財津和夫さん 「愛」をいろんな形で歌に

1971年にポップスバンドのチューリップを結成し、翌年デビュー。73年の「心の旅」が大ヒットして人気者になった。チューリップは89年の解散後も何度か再結成し、全国ツアーを行ってきた。「2012年の40周年ツアーで最後と思っていた」が今年9月から45周年ツアーを始める。「14年に亡くなったギターの安部俊幸の追悼が一つの動機。もう一つは自分への挑戦です。5年前は年齢的に最後と思ったのに、まだやれると感じた。やれるうちにやろうというわけです」

最近もソロでは全国を回っている。「ソロは気楽ですが、チューリップの看板は大変な重荷なのです」と明かす。「往時のチューリップを再現することが最低限の義務なのに、年齢的な衰えは歌声に表れる。そこをどこまで頑張れるか」

財津和夫さん

「心の旅」「サボテンの花」「青春の影」といったヒット曲を生んだ作曲力には定評がある。「以前はメロディーを作った後に、仕方がないから歌詞をつけていた。ここ10年で変わりました。相手に直球で伝わるのは言葉だと気づき、メロディーより先に歌詞を作るようになったのです。最近は言葉の勉強が面白い」

今、興味のある言葉は「愛」だ。「これまで愛という言葉にはネガティブな態度で接してきた。皮肉めいたものを付け足さないと表現できなかった。ところが愛とは都合のいい言葉ではなく、本当にあるんだと思えるようになったのです。今後はそこをいろんな形で歌にできたらいい」と語る。「あとアルバムを2枚ぐらい作りたい。僕の遺産としてね。自分のささやかな私生活を切り取り、締め切りに縛られず、思いつくまま1曲ずつ作っていきたいのです」。68歳。(ざいつ・かずお=シンガー・ソングライター)

[日本経済新聞夕刊2016年7月11日付]

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