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ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今週は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店に4度目の訪問となる。企画関連の本が売れ筋になる同店だが、店長の大城優樹さんが今週注目するのは仕事術や思考法など、仕事の進め方を見直すヒントになる本だ。

伝説のプログラマーの時間術とは

店長が売れ行きに注目する1冊は中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)。米マイクロソフトでウィンドウズ95、ウィンドウズ98などの開発に携わった伝説の日本人プログラマーが自ら実践してきたスピード仕事術を公開した内容だ。6月初めの刊行で徐々に売り上げを伸ばしている。

日本マイクロソフトから米本社勤務になったとき、著者は現地のプログラマーたちの優秀さに打ちのめされたそうだ。だが、そこで著者は気づく。天から与えられてる時間は平等だ。ならば時間の使い方を徹底的に突き詰めるほかない。時間を制するものが世界を制するのだと著者は考える。そうして練り上げられたのが本書で披露する「ロケットスタート時間術」だ。

この時間術の要諦は後にも先にもラストスパート志向からの脱却にある。とにかく初速を上げて10日あれば最初の2日間で8割の仕事を終わらせろと説く。仕事の分割方法や最適な昼寝時間など小ネタも満載でノウハウ本としても使えるが、それ以上に時間との向き合い方をトッププログラマーの仕事ぶりとともに体感できるのが面白いところだ。大城さんは「新しく仕事についた人が3カ月ほどたって具体的な壁にぶつかり、こうした本を手にとっているのでは」と、売れる理由を推測していた。

読み応えのある本に動き

同じような傾向の売れ筋として大城さんは、ウォーレン・バーガー『Q思考』(ダイヤモンド社)や上島千鶴『マーケティングのKPI 「売れる仕組み」の新評価軸』(日経BP社)などに今動きがでていると教えてくれた。前者はグーグルなどで取り入れられているたった1行のシンプルな問いで本質をつかむ思考法を紹介する内容、後者はマーケティングの評価軸についてその設定方法などを整理した内容だ。「読み応えのある、少し難しめの本に手が伸びている」と大城さんは見る。

いつものように先週のベスト5を見ておこう。

(1)確率思考の戦略論森岡毅・今西聖貴著(角川書店)
(2)Customer Journey加藤希尊著(宣伝会議)
(3)なぜ、あなたの仕事は終わらないのか中島聡著(文響社)
(4)大前研一 日本企業のグローバル戦略入門大前研一著(プレジデント社)
(5)Q思考ウォーレン・バーガー著(ダイヤモンド社)

(リブロ汐留シオサイト店、2016年6月27日~7月3日)

1位は前回の紀伊国屋書店大手町ビル店でも注目されていた1冊。マーケティング関連の本もよく売れるこの店では、すでに在庫が1冊だけになっていた。2位は5月に訪れたときに1位だった1冊。『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』は3位に顔を出す。大前研一氏の新刊をはさんで、『Q思考』が5位だ。

(水柿武志)

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