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加入している保険会社が破綻したら保障はどうなる? FP前野彩の お金と賢く生きてゆく!

2016/7/7

PIXTA
日経ウーマンオンライン

銀行などが破綻した場合、1人に対して1金融機関1000万円とその利息までは全額保証されます。一方、保険会社が破綻した場合に補償されるのは、責任準備金の9割までです。といっても、「責任準備金」という言葉は聞き慣れないですよね。

実は、私がこの言葉を知ったのは、保険会社の破綻を実際に経験した、そのときだったのです。

■もしもの「破綻」は突然やってきた

結婚から半年たったある日の夕飯時。テレビを見ていたら「〇〇生命保険会社が破綻」とのニュースが! なんと、パートナーが加入していた保険会社が破綻したのです。

「結婚したら保険を見直しなさい」ということは親に言われていたのですが、ファイナンシャル・プランナーではなかったその頃の私は、「男の人だったら、月1万円ぐらいの保険料ってフツーなのかな」と思って、放置していました。

もしものときのために保険に入っているのに、保険会社が破綻したらその契約がどうなるかなんて、誰も教えてくれません。翌朝、なかなかつながらない保険会社に電話をして説明を受けても、その内容が全く理解できず、保険のことを考えることそのものがイヤになった気持ちは今でも忘れられません。

そのときの説明は全く耳に入ってこなかったのですが、ファイナンシャル・プランナーになった今なら、次のようなことを説明してくれていたんだろうな~と想像しています。当時はとにかくいくら聞いてもわからない説明に疲れてしまい、受話器をおろすだけでした。

保険会社が破綻しても、保障がゼロになることはありません。破綻した保険会社の契約は、別の保険会社などがその契約を受け継いでくれるし、法律で“責任準備金”の9割までは保護されると決まっています。責任準備金とは、保険会社が将来の支払いのために積み立てているお金のことで、法律でちゃんと最低限の部分は保護してくれるのです。ただし、一度破綻した保険会社なので、今までと全く同じというわけにはいかない契約があります。それが、終身保険や個人年金保険、養老保険などの貯蓄性がある保険です。そのため、保険の種類によっては、破綻の前後で保険料が変わらなくても、将来もらえる保険金が減ってしまうものがあるのです。

■破綻すると保障内容も変わることがある

そしてまたも放置したまま時間が過ぎ、破綻した会社を引き継いだ保険会社からお知らせが届きました。中身を確認すると、“責任準備金”がカットされたため、保障内容は次の図のように一部減額されていたのです。

なんと、死亡したときに必ずもらえる終身保険の金額は、4分の3まで減ったのです。結果として、わが家は「死亡保険は必要ない」と解約することにしました。保険会社の破綻から1年たたずに解約したので、本来の解約返戻金も15%カットされました。

保険会社も世の中にたくさんある会社の中のひとつです。そのため、破綻する可能性もゼロではありません。だからこそ、「保険は入っておけばなんとなく安心」ではなく、「必要最低限の保険に入る」ことと、保険に加入した後も、「保険会社の体力」について関心を持つことが必要なのです。

保険会社の体力は、「格付け」や「ソルベンシー・マージン比率」によって確認することができます。

「格付け」とは、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)やR&I(格付投資情報センター)などの格付け会社が、独自の基準で保険会社をランク付けしたものです。会社によって評価の表し方が異なりますが、多くはAAAが最も信用があり、AAA → AA → A → BBB → BBというように評価が下がっていきます。同じ保険会社であっても、評価する格付け会社によって評価が異なったり、評価する時期によって格付けが変わりますので最新情報を確認しましょう。

ソルベンシー・マージン比率は、初めて聞く言葉の方が多いと思いますが、大地震などの通常の想定を超えた災害が起こり、保険会社が保険金の支払いに追われたときに、どれぐらい支払いの余力があるかを表した数字です。200%以上あれば健全ということですが、過去に破綻した保険会社はいずれも決算発表時には200%以上だったので、一般的には高い保険会社ほど安心というように考えます。

保険会社のホームページには、格付けもソルベンシー・マージン比率も公表されています。長期間保険に加入する際には、自分で、または担当者に確認してみてくださいね。保険会社を「選ぶ」ことも、あなたの安心にとても必要なことですから。

前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャル・プランナー。中学校・高校の保健室の先生を経て、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破綻を経てFPに転身。自らの住宅ローンで800万円、生命保険で1000万円の見直しを行った実績を持つ。「お金の安心と可能性をかたちにし、心の自立と輝く明日をつくる」ことを理念に「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を働く女性や子育て世帯に伝えている。講演やテレビでも活躍中。著書多数。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ ―書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)、『家計のプロ直伝!ふるさと納税新活用術』(マキノ出版)、『危うくムダなお金を払うところでした』(産経新聞出版)。

[nikkei WOMAN Online 2016年6月27日付記事を再構成]

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