スマホの通信速度、300Mbpsのウソと真実

最大通信速度を実感できることは少ない
最大通信速度を実感できることは少ない
日経トレンディ

2016年夏、NTTドコモとKDDI(au)が、ついに「下り300Mbps超」の通信速度を打ち出した。とはいえ、ユーザーとしてはあまり関心を持てないのが正直なところだろう。3Gの時代から今日に至るまで、キャリアのうたう「最大通信速度」と同等の速度を体感できているユーザーは、ほとんどいないからだ。

最新スマホでの最大速度。情報は2016年6月中旬時点のもの(日経トレンディ編集部調べ)
“総務省ルール”の実効速度は、2015年末に計測されたもの

この現状に問題意識を持った総務省は昨年、通信速度チェックに関する同省独自のガイドラインを策定。それに基づいたチェックを行い、結果を公表するよう、大手キャリアに促した。これを受けて昨年末から、各キャリアは自社のサイトで“総務省ルール”での「実効速度」の表示を始めている。

ユーザーは一体、「通信速度」の何を信じればいいのか。

本当に300Mbps近い速度が出るのか

まず、大手2社のネットワークは、本当に300Mbpsもの速度が出るのか。対応機種であるサムスン電子「Galaxy S7 Edge」でテストしたところ、ドコモでは下り190Mbps超、auでは下り140Mbps超の速度を記録。公称値の半分程度ではあるが、条件さえ良ければ、都心でも150Mbps前後の速度は実際に確認できた。


とはいえ、それも「条件が良ければ」の話。Galaxyでテストしたのは休日の午前中、通信が特に空いている時間帯だ。これが平日の昼間になると、一気に下り100Mbps前後に落ち込む。また、現在発売されている多くのスマートフォン(スマホ)は、そもそも端末側の最大速度が下り200Mbps台かそれ以下なので、Galaxyと比べると速度は落ちる。

“総務省ルール”の「実効速度」にも穴がある

「最大通信速度」を上げるのに大きく貢献しているのが複数の電波の周波数を束ねて使う「キャリアアグリゲーション」だ。ドコモとauのうたう「下り300Mbps超」のスペックは、3つの周波数帯域を束ねて使う「3波キャリアアグリゲーション」対応の基地局と端末の組み合わせでの最大値である。

キャリアアグリゲーションを使うには、端末と基地局側の両方の対応が必要。したがって、使えるエリアは限られる。周辺の混雑状況によっても速度は変わり、平日の昼間に都内で150Mbps超の速度を出すのは難しい。

キャリアが「300Mbps超」をうたうエリアはまだ限られている

また、総務省の「実効速度」についても完璧ではない。ガイドラインは、計測場所や時間帯に関してはさほどシビアではない。キャリアはある程度、条件がいい場所と時間を選んで計測できる。

大手キャリアではどこが速いか

そこで、普段の利用を意識して各キャリアの実力を比べるべく、平日の朝、昼、夜の3つの時間帯で、人気のiPhone 6sを使って大手3社の通信速度を比較した。

今回、際立った実力を発揮したのがNTTドコモ。混雑する昼間も100Mbps超の速度を記録し、すべての時間帯で、“総務省ルール”での実効速度を上回る結果となった。ドコモは、キャリアアグリゲーションの導入以後、実効速度が急激に改善しており、今回もその効果が表れたといえる。


auはWiMAX2+を積極活用しており、場所による速度の変化がやや大きい印象

auは、多くの時間帯でドコモに一歩及ばなかったが、午前中の計測では90Mbpsを超える速度を記録。多くの時間帯で、“総務省ルール”の実効速度を上回る記録を残した。

やや苦戦したのがソフトバンクだ。上りの通信速度は安定していたが、下りが50Mbpsを超えることは少なく、総務省ルールの実効速度とは、やや開きのある結果となった。大きな不満はない速度だったが、特に大容量のデータをダウンロードする場面では、他社に比べて差を感じる印象が残った。

後編では格安SIMの通信速度について、実測結果をまとめている。

(日経トレンディ編集部)

[日経トレンディ2016年8月号の記事を再構成]

日経トレンディ2016年8月号

著者 : 日経トレンディ編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 600円 (税込み)


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