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言われたことは忠実に守る。決して悪いことではありません。特に新入社員にとってはまずは大切なことです。でも、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」(More than enough is too much. / More is not always better.)。自分がまり子部長に言われたことをそのまま社長に言ってしまった伊藤君。間違ってはいませんが、でも、正しければいいというものでもなし。まり子部長は空気を読んでほしいと思うのですが。

「規則」について英語できちんと話せますか?

イラスト Dセイン

イラスト Dセイン

Case 1
Mariko: Hey, where are you going?
  Ito: I'm just going to lunch. Did I do something wrong?
Mariko: You can't just ignore the company rules.
  Ito: But it's only three minutes before 12:00.
Mariko: The rules are the rules.
  Ito: Okay, I'll set at my desk for three more minutes.
Mariko: I'm sorry for being a stickler for rules, but we have to maintain order.
  Ito: All right. I'll try to do everything by the book.
Mariko: Everything goes smoother when everyone follows the rules.
【対訳】
まり子: ちょっと、どこへ行くの?
 伊藤: 今、ランチに行くところです。何か間違っていますか?
まり子: 社則を無視してはだめよ。
 伊藤: でも、12時のたった3分前ですよ。
まり子: 規則は規則よ。
 伊藤: 分かりました。それじゃあ、あと3分机にいます。
まり子: 規則にこだわってごめんなさいね。でも秩序は保たないとね。
 伊藤: はい、杓子定規にすべてをやるようにしますよ。
まり子: 皆が規則を守れば、すべてがよりスムーズに行くからね。

解説)

Did I do something wrong?: 何か悪いことでもしましたか?

*相手の気に障ったかな、と思ったときのひと言になります。

I'm sorry for being a stickler. : 「うるさい人/こだわる人になっていてごめんなさい」が直訳。*stickler: stick 「こだわる/規則などに忠実である」の意味から「言い張る人/うるさい人」の意味。

by the book: 「本によって/本に従って」の意味から「規則通りに/杓子定規に」の意味。

Case 2
Tanaka: I'm taking off. See you tomorrow.
Mariko: Okay, have a good evening.
  Ito: But it's only 5:48.
Tanaka: Yeah, I know, but why are you telling me that?
  Ito: According to the rules, we can't leave until 6:00. That's what Mariko told me.
Tanaka: Um...yeah. Okay, okay. I'll be in my office.
Mariko: Why did you say that? Now you put him in a bad mood. You should have kept your mouth closed.
  Ito: I know, but you told me that everyone has to obey the rules.
Mariko: That's true, but...
  Ito: The rules apply to everyone, don't they?
Mariko: Yes, but sometimes we have to bend the rules.
  Ito: But you said the rules are rules.
Mariko: Can't you read between the lines?! 空気がよめないのか?
【対訳】
 社長: これで失礼するよ。それじゃあ、明日。
まり子: 分かりました。お気をつけて。
 伊藤: でもまだ5時48分ですよ。
 社長: 分かっているよ。どうしてそんなことを言うのかね?
 伊藤: 規則によれば、6時前には退社できないはずですが。そうまり子部長が言いました。
 社長: うむ、そうだね。分かった、分かった。じゃあ、オフィスにいるよ。
まり子: なぜ、あんなことを言ったの? 社長が気分を悪くしたじゃない。黙っていた方がよかったわよ。
 伊藤: 分かります。でもあなたが僕に言ったんですよ、全員が規則に従わなければならないって。
まり子: そりゃあ、そうだけど。でも…
 伊藤: 規則って全員に適応されるものですよね?
まり子: そうね。でも規則を曲げなければならないときもあるわよね。
 伊藤: でも規則は規則だって、あなたが言ったんですよ。
まり子: あなたって空気が読めないの?

解説)

I'm taking off.: 「出発します」が直訳。「これで失礼するよ」程度の意味。See you tomorrow. は「じゃあ、明日」ですが「お疲れさま、お先に」のニュアンス。

According to the rules: 規則に従って、ルールによれば

Why did you say that?: 「どうしてそんなことを言ったの?」はやや非難のニュアンスを込めた表現になります。

put… in a bad mood: …の気持ちを不快にさせる、悪い気分にさせる

You should have kept your mouth closed.: 「あなたの口を閉じておくべきだった」が直訳。 <should + have + 過去分詞> は「~しておくべきだった(でも実際はそうしなかった)」 仮定法過去完了形で「過去の事実」とは違ったことを述べます。

apply to: ~に適用する、当てはまる

bend the rules: 規則を曲げる

read between the lines: 「行間を読む」すなわち「空気を読む」

セインのビジネスひと口メモ

多くの日本人がアメリカのビジネス社会を厳しいものだと感じ、日本よりも簡単に解雇されると思っているようですが、これはある意味で真実です。しかし、社員を解雇すれば、当然のように解雇された社員の多くが会社を訴えることになります。この状態をアメリカの会社はただ手をこまねいて見ているわけではありません。会社は多くの規則を設定し、その結果として社員が規則を破るという状況が生まれやすくなります。それは当然、記録として残され、蓄積され、社員を解雇したいときの証拠として使われることになります。やはりその辺りは、アメリカ社会は甘くはありません。

ところでruleに関わるフレーズも覚えておきましょう。

make the rules: 規則を作成する

follow/obey/observe the rules:規則に従う、順守する

bend the rules: 規則を曲げる

ignore the rules: 規則を無視する

break the rules: 規則を破る

stick to the rules: 規則にこだわる

change the rules: 規則を変える

according to the rules: 規則に従って、規定通りに

Do your best!

: Dセイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は7月14日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
 東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

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