梅雨のビジネスシューズは「水陸両用」を狙え
ビジネスで使える雨対策ギア
ついに関東地方も梅雨入りした今日このごろ。やはり気になるのが防水モノだろう。そこでビジネスで使える雨対策ギアを3回にわたって紹介する。第1回となる今回のテーマは「ビジネスシューズ」。トレンドに敏感で、オシャレに気を使う30代のビジネスパーソンにもマッチする防水仕様の靴をピックアップした。
見た目はちゃんとした革靴、なのに雨に強い!
いくら梅雨だ、クールビズだといっても、ビジネスシーンでは"ちゃんとした"革靴を履くのがビジネスマナー。とはいえ通常の革靴は水に弱く、雨が内部に染み込んでしまうこともしばしば。靴下までぬれてしまったら不快極まりなく、テンションは下がり、仕事に集中することなんてできるはずがない。シューズに水染みが残ったり、微妙に形が変わるなど靴自体が劣化する心配もある。
長年、雨と戦ってきたビジネスパーソン、そしてシューズ業界。もちろんこれまでも雨に強いビジネスシューズは数多く登場している。しかし合皮製であったりデザインがさえなかったりと、どうしても防水然としたルックスのものが多く、「いつもの革靴のように」とはいかないものがほとんどだった。
そんな憂いを払拭する防水シューズが数年前から増えてきた。見た目はフォーマルな革靴なのに防水仕様のもの、雨に強い素材を使っているのに革靴にしか見えないシューズなど、「水陸両用モデル」が登場したのだ。
「雨だから仕方なく履くシューズ」ではなく、「雨の日も晴れの日も関係なく履ける防水シューズ」=「水陸両用シューズ」。デザインを犠牲にすることなく、普段通りのスタイルで使えて急な雨にもしっかり対応できる。雨の日の移動が快適になり、取引先への失礼もない。梅雨時期は毎日履いてもいいのではないだろうか。
今回は、ビジネスシーンで活躍する水陸両用シューズの注目作を3つ紹介する。いずれも高い技術を駆使した防水設計で、デザイン性にもこだわって作られている。手軽に買える1万円台のものから革靴と同じようにケアできる4万円台のものまでをそろえた。
まるで革靴のような防水シューズ「レインマン」
防水素材として知られる「PVC」製でありながら、革靴にしか見えないところがレインマンのすごいところ。マスターサンプルは木型開発から行われ、徹底して革靴のフォルムを再現することにこだわっている。
PVCとはポリ塩化ビニール素材。水や汚れに非常に強く、ソファの素材や防水コーティング素材としてカバンに用いられるなどしている。そんなPVCを使ったレインシューズは今までもあったが、基本的にはアッパーとソールを一体成型した単純な作りのものがほとんどだった。
レインマンはこの構造を見直し、革靴では当たり前の工程である"底付き"を採用。アッパー部とアウトソールをあえて2ピースにすることで、ただのレインシューズからより本物の革靴に近い姿へとグレードアップしているのだ。
「通気性のない防水素材のレインシューズは蒸れて、臭いが気になるのでは?」という問題には、インナー材に消臭・抗菌防臭・防カビ機能を備えた超耐久性ライニング材「オルエモ」を採用することで対応。レインシューズなので当然蒸れるが、蒸れによる臭いや不快感をできるだけ抑えている。
「1ピース構造(一体成型)のメンズ用レインシューズしかなかったマーケットに、2ピース構造の革靴に近いフォルムの商品を投入。普段は高額のレザーシューズを履いている、目の肥えた靴好きの方にも支持されています」(レインマン広報部)
ゴアテックスファブリクスを駆使した「マドラス」
今年95周年を迎える老舗シューズメーカーのマドラスは、優れた防水透湿性で知られる「ゴアテックスファブリックス」を用いた本格革靴を展開している。
プロ仕様のアウトドアブーツにも用いられる「ゴアテックスファブリクス」を内蔵。ソールには特殊な構造により快適性を格段にアップさせた「ゴアテックス サラウンド プロダクトテクノロジー」を採用している。
靴内の蒸れを360度全方位から放出する新技術によって、靴内環境を快適に保つことが可能。底面には大容量の通気孔があり、靴内の湿気は靴のアッパー部分だけでなく、靴底に設けた穴からも逃げる構造になっている。これまでのゴアテックスフットウエアよりも高い透湿性を備え、足をドライで涼しい状態にキープする。
また、履き心地を追求して自社工場で製作されたシューズは、革靴としても一級品。伝統技術が注がれた優美なシルエットや手仕上げの色合いなど、防水仕様には見えないデザイン・フォルムに仕上がっている点も見逃せない。また今季からは、普通の革靴同様、ヒール交換も可能になった。
履き心地を追求した「トレーディングポスト」の防水モデル
インポートシューズのセレクトショップであるトレーディングポスト。オリジナルの新作は、インポートの本格革靴にも負けない履き心地を実現している。
左右非対称の木型をもとに、日本人の足の形状を忠実に再現。つま先にゆとりを持たせながら、かかとまわりに少し丸みを持たせることで、これまでにないフィッティングを生み出した。これは欧米でも近年トレンドになってきているねじれを加えたような内振りのラスト設計で、従来のものより"足なり"な形になるため、フィット感がありながらきつく感じにくい点が最大の特徴だ。
防水面に関しては、革をなめす段階からはっ水剤を練り込んだレザーを使用することで、ゴアテックスにも劣らないという耐水性を備えたシューズに仕上げている。表面に防水コーティングを施している従来の防水レザーとは違い、一般の革靴と同じようにケアすることが可能で、革のエイジング(経年変化)も存分に楽しめるという。また、グッドイヤーウェルト製法のため、ケア次第で長く履くことができる。
アッパーには縫い目があり、はっ水力も最終的には衰えていくので完全防水ではないものの、ビジネスユースでは全く問題がない。むしろ普段使いができて、急な雨にしっかり対応できるところが魅力。まさに水陸両用シューズといえるだろう。
「デザインがベーシックということもあり、30~40代のビジネスパーソンから支持されています。特に外を歩き回ることの多い営業の方にご好評いただいております」(トレーディングポスト広報部)
防水なのにドレスシューズに劣らない見た目と履き心地
以上、注目の水陸両用シューズ3つを紹介した。いずれも防水仕様でありながら、見た目はドレスシューズのような優雅なデザインでスーツスタイルとも相性抜群。今までのレインシューズにはない品格があり、晴れた日に履いても全く違和感がない。「防水シューズ」ではなく「水陸両用シューズ」と言った意味もおわかりいただけたのではないだろうか。
梅雨であってもビジネスシーンで長靴を履くわけにはいかない。かといって足がずぶぬれでは仕事の効率も下がり、体調を崩す原因にもなってしまう。雨が降る中を出歩いてもストレスがなく、"ちゃんとした"見た目の水陸両用シューズを選び、梅雨をスマートに乗り切りたい。
(ライター 津田昌宏)
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