「痛烈に望んでいた夢」かなう 英バレエ団最高位昇格平野亮一さん、高田茜さんが帰国会見

2016/6/13

世界的に人気の英国ロイヤルバレエ団で最高位プリンシパルに昇格が決まった平野亮一さん(32)と高田茜さん(26)が日本公演のため帰国し、13日、都内で記者会見を開いて心境を語った。

英国ロイヤルバレエ団のプリンシパル昇格が決まった平野亮一さん(右)と高田茜さん

「今年昇格できなければもう無理だろうと思い、移籍も考えていた」という平野さん。ケビン・オヘア芸術監督から「練習着の半ズボンはよくない。捨ててくれ。プリンシパルらしくなってくれ」と昇格を告げられたときは、驚きでしばらく言葉が出なかったという。「痛烈に望んでいた夢。若い団員の手本になれるよう、今まで通り努力し続ける」と意気込む。

兵庫県尼崎市出身。2歳から母親のバレエ教室で練習を積んだ。「物心ついたときにはバレエをやっていて、あえてこの道に進む決心をするまでもなく踊り続けた。母や教室の生徒たちも昇格を喜んでくれて、親孝行になった」。2001年にローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞を受賞し、02年にロイヤルバレエに入団。「外国のバレエ団ならばどこでもよかったが、入団してから圧倒的な表現力を思い知った」。12年からプリンシパルに次ぐファーストソリストとして活躍していた。

平野亮一さん

16日から始まる日本公演では、「ロミオとジュリエット」でロミオの敵役となるティボルトを18日の東京文化会館で踊る。「ロミオを殺したいほど嫌っているわけではなく、競い合いを楽しんでいるように演じるのが難しい。細かい演技に注目してほしい」。これまで演じた中では「『ヘンゼルとグレーテル』の魔女や『フランケンシュタイン』の怪物といったアクのあるキャラクターの役作りを考えるのが好き。個人的に共感できない役でも考え抜き、ちょっとした表現にこだわって奥の深い物語をつくる」という。

一方の高田さんは「まだ実感がわいていない。プリンシパルは目標だったが、昇格を告げられたときは頭が真っ白になった。最初に報告した母にもすごく驚かれた」と落ちついた笑顔で語る。今年春に主演した「ジゼル」が高く評価されたという。

東京都葛飾区出身で、3歳から地元の教室に通った。「子どもの頃から英国ロイヤルバレエ団のドラマチックな作品づくりとナチュラルな演技に憧れていた」。モスクワ留学を経て08年に平野さんと同じプロ研修賞を受賞し09年に入団。14年にファーストソリストとなった。日本公演では24日の東京文化会館と7月6日の福山市・ふくやま芸術文化ホールで「ジゼル」のパ・ド・シスを踊る。

高田茜さん

目指すのは「舞台に立っているだけで物語が伝わるダンサー」とはっきり語る。「技術だけでは伝わらないので、演じる力が必要。足を出すしぐさだけでも、それがどんな気持ちなのか分かるのが英国ロイヤルバレエ団の特別なところ。お客さんの感情に訴えかけ、自分の踊りに集中して成長したい」

将来については「日本で教える立場につきたい。日本でバレエを続けることは難しい部分もあるので、少しでも手助けできたらと思う」と話した。

ロイヤルバレエ団は、著名バレエ団のなかでは早くから様々な国籍のダンサーに門戸を開いてきたことで知られる。現在も15人いるプリンシパルのうち、7人がキューバ、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、米国、オーストラリアからと欧州以外の出身者だ。日本人では初めて1993年に熊川哲也さんが昇格、95年には吉田都さんが他バレエ団から移籍してプリンシパルとなった。以来、21年ぶりにトップに上りつめた平野さんと高田さんは、今年9月に始まるシーズンからプリンシパルとして舞台に立つ。

(文化部 小山雄嗣)

エンタメ!連載記事一覧