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女性の大敵「歯周病」 早産や動脈硬化のリスクに

日経ヘルス

2016/7/24

イラスト:sino
日経ヘルス

 「歯周病は歯周病菌による感染症」と解説してくれるのは、若林歯科医院の若林健史院長。幼少期は親から、成人後はパートナーからキスなどで感染することが多いという。「歯周病菌の種類により、急激に重症化することもあるが、ほとんどの歯周病はゆっくりと進むので自覚症状が出にくい」

3つ以上当てはまるようなら、歯周病の可能性があるので歯の磨き方を見直そう。軽度ならセルフケアで改善するが、進行している場合もあるので歯科医を受診しよう。
4253人が対象の歯科疾患調査の結果では、軽度の歯周炎の指標となる4mm以上の歯周ポケットのある人は、30代で5人に1人、40代前半で4人に1人、40代後半では3人に1人。ただし、10代、20代ですでに感染していた可能性もある(データ:平成23年歯科疾患実態調査)

 初期の歯周病は「歯肉炎」と呼ばれ、炎症は歯肉にとどまる。この段階では念入りな歯磨きで治すことが可能だ。症状が進むと「歯周炎」になり、歯を支える骨が溶け始める。

 発症にかかわっているのはプラーク(歯垢)の中の歯周病菌。プラークは歯に付着した粘り気のある細菌の塊で、1mgの中に10億個の細菌がすみついているとされ、その中に歯周病菌が特異的に存在する。

 「歯周病菌が増殖して免疫細胞の白血球と戦い始めると、白血球を歯肉に大量に送り込もうとして毛細血管が膨張する。それにより、歯肉に腫れや赤みが生じる。膨張した血管壁は破れやすいので歯を磨くと出血が見られるようになる。一方、歯周病菌と戦った白血球の残骸から放出されるたんぱく質分解酵素が、逆に歯肉の細胞を破壊する。その結果、歯と歯肉の間に『歯周ポケット』ができてしまう」(若林院長)

 空気のない環境を好む歯周病菌にとって、歯周ポケットにたまるプラークは絶好のすみか。さらに菌が増殖し、炎症が奥深くへと広がっていく。

イラスト:三弓素青

 歯周病菌の中には女性ホルモンのプロゲステロンを栄養に増殖するタイプ(プレボテラインターメディア)があり、プロゲステロンの分泌が増える月経期は症状が増悪しやすい。また、「歯周病による炎症反応で、妊娠中は陣痛を誘発するプロスタグランジンの分泌が促され、早産や低体重児出産のリスクが高まることもある」と若林院長。

 歯周病の全身への影響はそれだけではない。「血管の弾力がなくなって動脈硬化が引き起こされ、心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなりやすい。糖尿病や肥満の悪化因子になることも分かっている」と若林院長は警鐘を鳴らす。

歯周ポケットから血中に入り込んだ歯周病菌は、中性脂肪の増加、動脈硬化など、さまざまな病気のリスクを上げる。糖尿病は歯周病の悪化因子になるが、逆に歯周病の炎症反応が糖尿病を重症化させることが分かっている

■この人たちに聞きました

若林健史さん
若林歯科医院(東京都・渋谷区)院長。歯周病治療の第一人者。日本歯周病学会専門医・指導医。「歯周病を治療すれば血管がしなやかになることで、アンチエイジング効果もある」
豊山とえ子さん
聖母歯科医院(神奈川県・川崎市)歯科衛生士 T-SIS社長。著書に歯周病対策をまとめた『歯は磨かないでください』(廣済堂出版)がある。「歯磨きはシャカシャカ磨きを見直して、プラークコントロールを徹底して」

(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2016年7月号の記事を再構成]

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