のびのびとした明日海りおの演技、幸福感いっぱい宝塚歌劇団花組「ME AND MY GIRL」

見るものすべてをハッピーな気分で包みこむ。宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で上演されたミュージカル「ME AND MY GIRL」は1937年にロンドンで初演されたロマンチックコメディー。宝塚歌劇では87年に剣幸(つるぎ・みゆき)とこだま愛のコンビで初演して以来、数々のスターが演じてきた人気演目を、花組トップスターの明日海(あすみ)りおと花乃(かの)まりあがはつらつと演じた。

巧みに帽子を扱う明日海りお

ロンドンの下町ランベスで育ったビル(明日海)はヘアフォード伯爵家の前の当主の落とし種だったことがわかり、屋敷に呼び寄せられる。遺言に従って世継ぎになるため、貴族としての振る舞いを教育され、次第に紳士として成長していく。いわば「マイ・フェア・レディ」の男性版だ。明日海にとっては、2008年の新人公演で初めて主役を演じた思い出深い役。当時の本公演では娘役のジャッキーを演じていただけに、「『ランベス・ウォーク』で大きく一歩を踏み出した快感が忘れられない。やっぱり男役が好き、しっかりがんばろうと決意した」という。

今回の公演でも、登場シーンからのびのびと、楽しそうに演じているのが伝わってくる。手になじむように肌身離さず持ち歩いて練習したという帽子の扱いも何とも様になっていた。1つ難を言えば、光源氏のような貴公子役がはまる美形だけに、下町っ子のやんちゃぶりがいまひとつ似合わず違和感がぬぐえなかった。

後半、英国紳士らしく成長した姿との落差がいまひとつはっきりしなかったのも惜しい。この点はビルの恋人、サリー役の花乃も同様で、前半のはすっぱに振る舞っている様子がちぐはぐで、淑女に変身した姿のほうが持ち味にしっくりきていると感じた。

タイトルソングの「ミー&マイガール」や伯爵家のパーティーに下町っ子たちが乱入してお祭り騒ぎをする「ランベス・ウォーク」、行方をくらましたサリーを探して街をさまようビルが歌う「街灯によりかかって」など、名曲ぞろいで聞き応え十分。特に、紳士らしく変わっていくビルとのすれ違いを感じたサリーが自ら身を引くことを決意して歌う「一度ハートを失(な)くしたら」は何ともいえない切なさがこもっていた。

「ランベス・ウォーク」を歌う出演者たち 

ラストは、ビル&サリーのほかに2組のカップルが誕生するハッピーエンド。フィナーレから、結婚式を思わせるあでやかな衣装でのエンディングで盛り上がり、劇場は多幸感に包まれた。

6月24日から~7月31日まで東京・千代田の東京宝塚劇場で上演。

(大阪・文化担当 小国由美子)

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