「男は黙って」は通用せず、タクシー王子改革に走る川鍋一朗・日本交通会長に聞く(下)

会社を継ぐための準備として米国のビジネススクールに留学した、川鍋一朗日本交通会長(45)の経営学修士(MBA)物語の後半。留学で自信を付けて帰国した川鍋氏だが、MBAを引っ提げて会社に“凱旋”と思いきや、予想外の事態に直面した。

卒業後は、経営コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーで“武者修行”。約3年後、満を持して日本交通に入った。2000年、30歳の時だった。

マッキンゼーは、私にとっては実質的に初の社会人経験。非常に勉強になりました。特に勉強になったのは、ファクトとロジックの大切さです。例えば、経営戦略などを説明する際に、事実に基づいて論理的に説明すれば、「私の勘ではこうなんだよ」などと言う相手に対しても、「いや待ってください、この数字を見ると、こうなんです」と説得できます。マッキンゼーで3年間、トレーニングを積めたのは、貴重な経験になりました。

ところが、日本交通に役員として入った瞬間、想定外の問題に直面しました。なんとグループ全体で1900億円の借金を抱えていることが発覚したんです。借金返済のために、資産を売却したり、子会社の数を3分の1に減らしたりと、ロジックの世界からいきなりドロドロした世界に。新参者の私がロジックで物事を推し進めようとして、古参の社員と感情的に対立した時期も正直ありました。MBAの知識もマッキンゼーでの経験も、まったく役に立たないなと、自分の経歴に否定的な気持ちにさえなりました。

それでも経営危機を何とか乗り切り、2005年、社長に就任した。

会社を再建しながら冷静になって考えてみると、やはり経営課題を一つ一つ解決して収益を改善していく過程では、コンサルの手法を活用したわけですし、当初は、そのやり方がまずかっただけで、ケロッグやマッキンゼーで学んだことは結局、役に立っているなと思い直しました。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧