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上司の言い分vs部下の言い分

第7回 モチベーションは上司、部下どちらが高めるべき?

濱田秀彦 株式会社ヒューマンテック代表取締役、マネジメントコンサルタント

2016/7/3

PIXTA

皆さんのなかには、プライベートな目標を立てている人も多いでしょう。目標を作ったとき、モチベーションは上がるものの、いつのまにか目標を忘れ、モチベーションもどこかに行ってしまう、ということを繰り返すのが人間というもの(私もです)。

個人生活に関しては、それでもよいのでしょうが、仕事に関して、そうはいきません。モチベーションの維持は、よい仕事をするために重要なものだからです。

今回のテーマはこのモチベーションをめぐる、上司と部下の対立です。

上司は、部下のモチベーションの低さを嘆き、部下はモチベーションが上がらない、あるいはモチベーションを下げているのは上司のせいと思っている、というケースをよく目にします。

果たして、モチベーションを上げる責任は上司、部下のどちらにあるのでしょうか。

上司の言い分

最近の部下を見ていると、モチベーションが低いと感じます。欲がないですよね。ほどほどに仕事をして、現状維持で構わないと考えているように見えます。もっと、上を目指して努力するとか、高報酬を求めてガツガツとやったらいいんですよ。若いうちはそのぐらいでちょうどいいんです。いまは、若年寄のような者が多く、それが淡白な仕事ぶりにつながっているのだと思います。

自分のモチベーションが低いことを上司のせいにしている者がいることは知っていますよ。それは、おかしいんじゃないですか。モチベーションは自分で上げるものですよ。私たちはそうやってきました。

上が詰まっていて、ポストが少ないから、モチベーションが上がらないという話もよく聞きますが、そんなことはないと思いますよ。管理者登用試験に推薦しても、「まだ早いから」としり込みする部下が多いのが現状です。要はやる気ですよ。

【部下に求めること】

*欲を出してほしい

*自分でモチベーションを上げてほしい

*上を目指して努力する姿勢を示してほしい

部下の言い分

そんなに自分のモチベーションは低くないと思いますよ。わざとらしく、やる気を見せるということをしていないだけです。まあ、モチベーションが高いとは言いませんけど、仕事は責任を持ってやっています。

上司は、「もっと欲を出せ」と言いますが、よく意味がわかりません。上司の頃は、出世して、車を買って、家を買ってというのがパターンだったらしいですけど、自分にはそういう志向はありません。出世と言っても、いまはポストも少ないですし。だいいち管理職になると責任ばかり重くなって、大変そうです。いつも忙しそうで、「大変だ」とばかり言っている上司を見ていたら、管理職になりたいなんて思いませんよ。もし、上司にいつも余裕があって、かっこいい管理職だったら少しは考えるかもしれません。

こんな不安定な時代ですから、高級車を買ったり、大きなローンを背負って家を買うなんて考えたこともありません。そんなお金があったら、将来に備えて貯金します。

上司には、欲を出せと言うより、どうしたら部下のモチベーションが上がるか、考えてほしいです。そういうことを考えてくれる上司についたら、僕のモチベーションはもっと上がると思います。

【上司に求めること】

*「欲を出せ」と自分の価値観を押し付けないでほしい

*余裕があって、ああなりたいと思うような管理職でいてほしい

*部下のモチベーションを上げることを考えてほしい

モチベーションをめぐる溝を埋めるために

部下のモチベーションが高ければ、上司はマネジメントがやりやすくなりますし、本人も毎日をイキイキと過ごせるはずです。双方にとって、よい状況になるはずなのに、実態はお互いを批判することが多いもの。どうすればよいか、考えましょう。

上司への提案

部下に、自らモチベーションを上げてほしいと期待するのは自然なことです。しかし、モチベーションの向上を部下任せにするのは考えものです。モチベーション向上は、人材という資源を有効活用するための、マネジメントの重要施策です。

現代の若者のモチベーションは「アメとムチ」では上がりません。物質的な渇望感がありませんから、アメをちらつかせても走りません。しばしばムチをふるえば、背を向けたり、委縮してしまいます。 現代の若者がモチベーションを上げるためのカギは次の3つの実感です。

*自分は価値のある仕事をしているという実感

*職場で自分は価値ある存在であるという実感

*自分は成長しているという実感

価値のある仕事を与える、あるいは現在の仕事に価値を感じられるよう説くことができるのは、上司です。職場での存在価値も、自分の成長も、本人は認識しにくいもの。やはり、上司からのねぎらいの言葉や、一緒にこれまでを振り返ることで実感できるよう仕向けるのがポイントです。

また、チーム目標を設定し、役割分担する際、これらの点を考慮するか否かで部下のモチベーションには大きな差が出ます。モチベーション向上は、マネジメントの一環として考えるべきものなのです。

なお、管理職になりたがらない若者が増えたのは確かです。目指しても、ポストが少ないため、なれる人は少なく、諦めムードがあります。なれそうもないから、先手を打ってなりたくないと言っている人も結構います。それに、疲弊している上司を見れば、なりたくないと思うのも無理はありません。部下のモチベーションを上げたければ、まずは自分のモチベーションを上げることです。

上司への提言

*部下のモチベーション向上はマネジメントの重要施策と考える

*モチベーション向上のための3つの実感が上がるよう働きかける

*自らモチベーションを上げ、ああなりたいという像でいる

部下への提案

部下のモチベーションマネジメントは上司の仕事です。しかし、上司がモチベーションを上げてくれないからと嘆いて過ごしては、自分のためになりません。

自分自身でモチベーションを上げるセルフモチベーションは、ビジネスパーソンの重要なスキルです。それができる人は、異動、上司交代など外部環境が変わっても、毎日精神的に充実していられるからです。

セルフモチベーションのヒントは、過去にあります。試しに、入社以来のモチベーションのアップダウンを、バイオリズムの表を書くように、線で引いてみてください。5分ぐらいで書けます。山の頂上から下降する場面の共通点が、あなたの不調の法則です。谷底から上昇する場面の共通点が好調の法則です。

大きく分けると、2種類のタイプがいます。ひとつは、飽きてくると不調になり、新しいことをはじめると好調になる。もうひとつは、慣れないことをやり始めると不調になり、慣れると好調に転じる。前者は、自分から仕掛けて新しいことをやるようにすればモチベーションを維持でき、後者は早く新しいことに慣れることにフォーカスすれば、モチベーションの低下を防ぐことができます。

なお、管理職を目指す、目指さないは本人の自由です。ただ、管理職になりたくないと公言するのは避けた方がよいでしょう。そういう発言を繰り返すと、会社や上司から「やる気のない人」と見られます。あなたが、プロ志向ならば、「管理職になりたくない」ではなく「プロフェッショナルを目指します」と公言し、自分を磨いていくのが得策です。

管理職志向でも、プロ志向でもなく、現状維持でよいと思っている人がいたら、考え方を変えてください。いまの時代、現状維持でいいと言っているようでは、現状維持さえできなくなります。管理職であれ、プロであれ、理想像を公言し、向かっていく姿は見せてください。

*セルフモチベーションを意識する

*過去を振り返り、モチベーションのヒントを見つける

*管理職志向かプロ志向か打ち出し進んでいく

上司と部下が良い影響を与えあい、モチベーションの高いチームを作っていくことがお互いのためです。

[2013年2月13日掲載の日経Bizアカデミーの記事を再構成]

上司の言い分vs部下の言い分」は日曜更新。次回は7月10日の予定です。
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濱田秀彦(はまだ・ひでひこ)
株式会社ヒューマンテック代表取締役、マネジメントコンサルタント
1960年東京生まれ。早稲田大学卒業後、住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て、大手人材開発会社に転職。トップセールスマンとなり、営業マネージャー、経営企画室マネージャー、システムソリューション部門責任者を歴任後、独立。現在は、コンサルタントとして、公開セミナー、個別企業の研修に出講しており、これまで指導したビジネスパーソンは1万7000人を超える。

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