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特定の分野での経験やスキル、知識を豊富に持っていることと、今後の自分の成長は本来は無関係なはずなのですが、経験値が高い人ほど、無意識のうちに上限値を決められているふしが見えることがあります。ここに自己評価のズレが重なると、求人を選択する基準にぶれが生じて、自分の力が必要とされ生かされる求人を見落としたり、逆に自分のキャリアが必要とされにくい会社ばかりに応募を続けたりしてしまい、やがてキャリアの迷子になってしまいます。

ちなみに自己評価のズレとは、特定の環境やコンディションに依存していたこれまでの実績を拡大的にとらえてしまい、周囲の評価よりも自己評価を高めに自覚しているケース、逆にかなり応用範囲も広く、他業界から見てもかなり高い評価を得られる力量がありながら、ご自身で過小評価してしまっているケースなどです。

先に異業界に転職した先輩や、異業種の知人・友人、転職コンサルタントなど、自身のキャリア価値を客観的にアドバイスしてくれる人を複数見つけて、転職市場における自分自身のキャリア価値を把握することを強くお勧めします。

「ルサンチマン主導型」の転職活動

最後の1つはルサンチマン(恨み)主導型の転職です。

昨今、企業のリストラ政策は過酷になってきています。経営陣の失策や怠慢、傲慢による倒産危機、経営不安によって、待ったなしのリストラも増えています。

「会社がこうなったのは経営陣のせいだ。社命に従って何十年も歯を食いしばってがんばってきた自分たちには罪はない」という恨み節を言いたくなる気持ちの方もたくさんおられます。ただ、「だからあの会社に仕返ししてやるのだ」というような気持ちが先行して転職活動をしてしまうと、転職先の状態や、数年後のイメージを持たないまま、腹いせ的に同業他社だけを検討先にするなど、転職先選びの段階で目が曇ってしまうこともあります。

転職活動は、あくまでも自分自身が生き生きと働ける次のキャリアを見つけるためのものであり、それだけを目的に進めたほうが、いい転職が実現できる確率は高まります。

退職すると決めた以上は、自分自身を大切に、自分が気持ちよく働き続けることだけを目的に、最善の活動と選択をしていただきたいと思います。

次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は6月17日の予定です。
 連載は3人が交代で担当します。
 *黒田真行 ミドル世代専門転職コンサルタント
 *森本千賀子 エグゼクティブ専門の転職エージェント
 *波戸内啓介 リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長
黒田 真行(くろだ・まさゆき)
ルーセントドアーズ株式会社代表取締役
1965年、兵庫県生まれ。89年、関西大学法学部法律学科卒業、株式会社リクルート入社。2006年から13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。13年、リクルートドクターズキャリア取締役・リクルートエージェント企画グループGMを兼務した後、14年にルーセントドアーズ株式会社を設立。現在は、中途採用市場の積年の課題であった「ミドル世代の適正なマッチング」をメーンテーマと設定し、日本初となる35歳以上のミドルキャリア専門の転職支援サービスを運営している。
35歳以上の転職支援サービス「Career Release40」
http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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