プレゼンでの緊張、英語でうまく伝えられますか?デイビッド・セイン(7)

NK商社では新人の伊藤君がクライアントに対してプレゼンを行いました。伊藤君、ドキドキ、バクバク、緊張の極致だったそうです。緊張状態であることを上手に英語で表せますか? 伊藤君のプレゼンに対して、まり子部長の評価は決して悪くありません。

伊藤君、いよいよクライアントと契約の協議に入ります。彼のプレゼンの効果はいかに? 伊藤君の緊張の時間は報われるのでしょうか。

イラスト Dセイン
Part 1
Sally: Wow, that was a great presentation. I think you're ready for the big meeting.
Ito: Are you serious? I don't feel ready at all. I have butterflies in my stomach.
Sally: Well, if you have stage fright, you don't look like it.
Ito: I don't think I'm cut out for this kind of work.
Sally: You're your own worst judge.
Ito: Well, I hope you're right.
Sally: Okay, M&G's people are in the meeting room, so get in there and do your best.
Ito: Okay, but if they won't sign the contract, I'll probably get fired.
Sally: You're not going to blow it, so stop worrying. I have to go home now, so tell me how you did tomorrow.
【対訳】
サリー:わあ、とても立派なプレゼンだったわね。こんな大きな会議によく備えていると思うわ。
伊藤:マジですか?きちんと心構えができているとは思えませんよ。もう心臓がバクバクです。
サリー:もし、あがっているとしても、そんな風には見えないわよ。
伊藤:僕は、この種の仕事には向いていないように思いますけど。
サリー:自分をきちんと判断できていないわね。
伊藤:ええと、違うと思いますけど。
サリー:分かった。M&G社の人たちが会議室にいるわ。とにかくそこへ行って最善を尽くしなさい。
伊藤:分かりました。でも彼らが契約書にサインしなければ、僕は多分解雇されちゃいます。
サリー:あなたは失態を演じることはないから、心配しないで。今日はこのまま帰るけど、明日、どうだったか話してね。

解説)

I have butterflies in my stomach. 心臓がバクバクだ。

*「胃の中に蝶々がいる」が直訳。例えば、「大きなことを目の前にして、気持ちがザワザワして落ち着かない、緊張する」の意味。

have a stage fright: 気後れする、あがる

*もともと、舞台から来た言葉

You don't look like it. そんな風には見えないわよ。

be cut out for: ~に向いている、素質がある、適している

You're your own worst judge. きちんと判断できていない

*「あなたはあなたの最悪の裁判官である」が直訳。すなわち「自分をきちんと判断できていない」という意味。

I hope you're right. 違っていると思うけど。

*「あなたが正しいことを望む」が直訳。すなわち「そうだといいんだけど」⇒ 「(でも)違うと思うんだけど」の意味。

I'll probably get fired. 多分、解雇されてしまう。

*probablyは「多分」の確率でも高く、だいたい70パーセントから80パーセントと考えられます。

*get fired: 解雇される

Part 2
Ito: Good morning. I really messed up yesterday. I was so uptight that the client thought I was lying to them. Do you think I'm going to get fired?
Sally: Are you kidding?! Didn't you hear the news?
Ito: What? I haven't heard anything. But M&G got mad and stormed out of the meeting.
Sally: This morning on the news, it was announced that M&G is going to go belly up.
Ito: You got to be kidding! Do you think it was my fault?
Sally: No, of course not, but if they had signed that contract, we would be in a big legal mess.
Ito: Huh? So that means that by messing up, I did a good job?
Sally: I guess so. But next time, you might not be so lucky, so you'd better brush up your presentation skills.
【対訳】
伊藤:おはようございます。昨日はヘマをしてしまいました。もうひどく緊張しちゃって、クライアントは私がうそを言っていると思ったんだと思います。僕は首になるんでしょうか。
サリー:ご冗談でしょう。ニュースは聞いてないの?
伊藤:何をですか? 何も聞いていません。M&G社は怒り狂って、会議室から飛び出していきましたよ。
サリー:今朝のニュースでね、M&G社が倒産するって、公表されたのよ。
伊藤:それって、何かの冗談ですか? 僕の失敗だと思いますか?
サリー:違う違う。もちろん違うわよ。でも、もし彼らが契約書にサインしていたら、わが社も法律上面倒な事態になるところだったのよ。
伊藤:えー? それじゃ、ヘマをやらかしたおかげで、僕がうまくやったっていう意味ですか?
サリー:そうかもね。でも次は、そんなに幸運ではないかもね。だから、プレゼンのスキルを磨いておきなさい。

解説)

mess up: へまをする、失敗をする

uptight: 緊張して、神経質になって

get mad: 怒り狂う

storm out of…: ~ から飛び出していく

belly up: 倒産する

*「(魚が)お腹を上にする」から「倒産する」の意味。

If they had signed that contract, we would be in a big legal mess. もし彼らが契約書にサインしていたら、わが社は法律上面倒な事態になるところだった。

*If they had signed that contract: (過去のある時点で) 契約書にサインしていたら…

(実際にはサインしていないことを表す)

legal mess: 法律上の面倒な事態

…you'd better brush up your presentation skills. だから、プレゼンのスキルを磨いておきなさい。

*「あなたはプレゼンのスキルを磨いておいた方がよい」が直訳。had betterは「~する方がよい」よりも更に強く「~したほうがいいよ、さもないと……」のようなやや脅迫めいたニュアンスがありますが、You'd better…にすることでずっとソフトになります。Probably, などをつければ更に安心です。

セインのビジネスひと口メモ

アメリカでは、会社/経営者サイドと従業員の関係は、日本に比べて総じて厳しく、またはっきりしています。もし、従業員が何か会社の利益になることをすれば、報償は大きく、その結果大幅な昇給につながったり、またマネージャーへの道が開かれることにもなります。すなわち、成功への道筋が見えて来るわけです。しかし、人間、成功するばかりではありません。失敗したときには、日本とはまた違った展開になるわけです。

「成功とそれに伴う報償」。よいこともあれば、悪いこともあります。もし従業員が失敗をしでかしたり、業務成績が不振であれば、彼らには手が差し伸べられることもありません。それどころか、辞職を余儀なくされることもあります。これは合法的であり、また習慣的に行われており、従業員も、ある意味心得ているため、例え解雇されても日本人ほどの大きなショックを受けることはありません。

Try and try again!

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は6月2日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

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