改めて現代に響く高祖父渋沢栄一の言葉渋沢健・コモンズ投信会長に聞く(下)

2001年、40歳で独立し、自身でファンドを立ち上げた。

ヘッジファンドで働いてみたら、ヘッジファンドはベンチャー企業だということに気付きました。それまでは、金融業界でインパクトのある仕事をするには大企業に勤めないと無理だと勝手に思い込んでいましたが、どうやら違った。だったら、自分で旗を立てることも面白いかもしれない。幸い、外資系で死ぬほど働いてきたので、数年間ぐらいは収入がなくても食べていけるだけの蓄えがありました。区切りのいい40歳の時に、「オルタナティブ投資」のアドバイザリー会社を立ち上げました。

ところが半年後、大事件が起きました。9月11日に米国を襲った同時テロです。ちょうど出張でシアトルにいましたが、飛行機が飛ばず、1週間現地で足止め。ビジネスは完全に停止状態に陥りました。実は、その2年前に結婚し、翌年には子どもが生まれていましたが、その家族とも連絡が取れず、途方に暮れました。

その日を境に、自分の世界観に目覚まし時計がなりました。平和や持続性は、普段は意識しない空気のような存在ですが、それが一瞬でなくなる大変なこともありえるということを思い知らされました。同時に、それまで仕事ではメーク・マネーに専心してきましたが、それだけでは十分ではない。これからは、自分の家族や会社のためにも、どうやったら平和で持続性のある世の中を作ることができるか、どうやったら豊かさを未来につなげることができるかも考えながらビジネスをしていくべきではないか。そんな考えが頭の中を巡りました。

その発想で2004年に始めたのが、ヘッジファンドの成功報酬の10%を、社会起業家を応援するために使うプロジェクト「SEEDCap」です。実際にこのプロジェクトを使って、創業まもない子育て支援に取り組むNPO法人フローレンスなどを支援してきました。

ところが、2008年のリーマンショックで、それまで築いてきたビジネスが行き詰まりました。ただ、同じタイミングで、個人投資家の長期投資を促すコモンズ投信を仲間たちと設立したので、「コモンズSEEDCap」として現在も社会起業家の応援は続いています。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧