~ものの値段は需要と供給で決まる
「需要と供給」という言葉はみなさんも聞いたことがあると思います。欲しいという「需要」と、売りますという「供給」。これによって、ものの値段は決まっていきます。
みなさんにひとつ、質問を出します。高級ホテルの喫茶コーナーに行ってコーヒーを注文すると、1杯1000円以上します。どうして高級ホテルのコーヒーの値段は高いのでしょうか。ドトールコーヒーだったら200円で飲めるのに、どうして帝国ホテルやホテルオークラでは1000円以上もするのでしょうか?
生徒A 宿泊費が高いので、ホテル内で売っているものの単価が高くても客が支払うから。
そもそも宿泊費が高いからコーヒー代を高くしても支払う。何で? そこで宿泊して近くのドトールに飲みに行けばいいじゃない?
生徒B その値段を払ってでも、そこでコーヒーを飲みたいという人がいるから。
そのとおりですね。高級ホテルは都心の一等地にあって、そもそも土地代などのコストが高いからその値段なのだろうと考える人がよくいますが、高級ホテルから一歩外に出てみると、ドトールやスターバックスがあったりします。
同じ一等地でも、そこでは安い値段で売っている。確かに地価も高いだろうけど、それがコストを引き上げていることにはなりません。
ではなぜ高いのか? 高級ホテルの喫茶で雰囲気を楽しみながらコーヒーを飲む、その雰囲気を楽しむためであれば、高いお金を出してもかまわないという人が大勢いるから高い値段で成り立っているんです。需要と供給の話で言えば、高い値段でもそこで飲む人がいるから、高いコーヒーが供給されているということですね。
このように、ものの値段は需要と供給でもっぱら決まります。経済学には、需要曲線と供給曲線のグラフがあります。経済学というのは、とりあえずこのグラフの読み方、この概念を頭に入れれば、それでいいようなものです。
(イラスト:北村人)
次回は、ズバリ「お金」について解説します。
[日経Bizアカデミー2012年4月20日付]