経済学とは、そもそも何のための学問なのだろうか?著者が解説~池上彰氏(1)

なぜ高級ホテルのコーヒーの値段は高いのか?
~ものの値段は需要と供給で決まる

「需要と供給」という言葉はみなさんも聞いたことがあると思います。欲しいという「需要」と、売りますという「供給」。これによって、ものの値段は決まっていきます。

みなさんにひとつ、質問を出します。高級ホテルの喫茶コーナーに行ってコーヒーを注文すると、1杯1000円以上します。どうして高級ホテルのコーヒーの値段は高いのでしょうか。ドトールコーヒーだったら200円で飲めるのに、どうして帝国ホテルやホテルオークラでは1000円以上もするのでしょうか?

いけがみ・あきら ジャーナリスト。東京工業大学特命教授。1950年(昭25年)生まれ。73年にNHKに記者として入局。94年から11年間「週刊こどもニュース」担当。2005年に独立。主な著書に「池上彰のやさしい経済学」(日本経済新聞出版社)ほか多数。長野県出身。

生徒A 宿泊費が高いので、ホテル内で売っているものの単価が高くても客が支払うから。

そもそも宿泊費が高いからコーヒー代を高くしても支払う。何で? そこで宿泊して近くのドトールに飲みに行けばいいじゃない?

生徒B その値段を払ってでも、そこでコーヒーを飲みたいという人がいるから。

そのとおりですね。高級ホテルは都心の一等地にあって、そもそも土地代などのコストが高いからその値段なのだろうと考える人がよくいますが、高級ホテルから一歩外に出てみると、ドトールやスターバックスがあったりします。

同じ一等地でも、そこでは安い値段で売っている。確かに地価も高いだろうけど、それがコストを引き上げていることにはなりません。

ではなぜ高いのか? 高級ホテルの喫茶で雰囲気を楽しみながらコーヒーを飲む、その雰囲気を楽しむためであれば、高いお金を出してもかまわないという人が大勢いるから高い値段で成り立っているんです。需要と供給の話で言えば、高い値段でもそこで飲む人がいるから、高いコーヒーが供給されているということですね。

このように、ものの値段は需要と供給でもっぱら決まります。経済学には、需要曲線供給曲線のグラフがあります。経済学というのは、とりあえずこのグラフの読み方、この概念を頭に入れれば、それでいいようなものです。

詳しいグラフの読み方については、書籍『池上彰のやさしい経済学 1しくみがわかる』で詳しく解説しています。ぜひ手に取ってご覧ください。書籍では、イラストや図解、用語解説が豊富に掲載されており、ひと目でわかる工夫が随所にされております。読むだけでなく、目で見て楽しく無理なく「経済」が学べる1冊です。

(イラスト:北村人)

次回は、ズバリ「お金」について解説します。

[日経Bizアカデミー2012年4月20日付]

池上彰のやさしい経済学 (1) しくみがわかる (日経ビジネス人文庫)

著者 : 池上 彰
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 648円 (税込み)


池上彰のやさしい経済学 (2) ニュースがわかる (日経ビジネス人文庫)

著者 : 池上 彰
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 648円 (税込み)


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