アイデアがどんどん生まれる簡単メモ術、プロが指南
メモは見返す習慣を 書くことで発想力UP
サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」をはじめ、多くの広告を手がけるコピーライターの小西利行さん。新人時代は「仕事が遅かった」が、メモの取り方に着目することで、仕事のスピードや質が大幅に向上した。
「メモは後から見返す習慣をつけています。優先度が分かるように○を付けたり、書いた日付を残したりしておけば、そのメモをとっかかりにして新しいアイデアが生まれるんです」
仕事に行き詰まったとき、頭が混乱したときは、「書くこと」自体が助けになることも。
「紙に書くことで、混沌としていた思考が整理される。物事を論理的に考えるためにも、メモは最適なツールなんです」
多くのメモ術を実践する小西さんがアイデア出しのために活用するのが、下の「三角メモ」。課題に関連した情報とターゲットのニーズを書き、それらを合体させるという方法だ。
「ゼロから考えるのは難しいけれど、この方法なら2つの要素を組み合わせるだけ。遊び感覚で書いていけば、簡単にユニークなアイデアを生み出せます。私も実際に仕事で使っているテクニックなんですよ」
幅広い課題の解決に役立つのがこの方法の利点。仕事だけでなく、「2次会の幹事を任された」といった、プライベートで何か企画する際にも応用できる。
「どんな仕事でも、問題や滞りを解決するには、新しいアイデアが不可欠です。だからこそ、アイデアを生む公式を知っておくことは、あらゆる業界で役立つのではないでしょうか」
あっという間に100個のアイデアができるメモテク
新しいアイデアを生み出す公式「三角メモ」は、仕事だけでなくプライベートで企画を考える際にも役立つ。例えば「結婚式の2次会」の幹事を任された場合を想定して、下の1から3の順にメモを取ってみよう。慣れてくれば、1時間で100個以上のアイデアが出てくるはず。
1.できることを書き出す
まずは白紙に大きな三角形を2つ書き、左の三角形には「結婚式の2次会」でできることを書き出していく。「ケーキ」「シャンパン」など、ごく定番のものから、「仮装」「ステージ」など、あったら面白そうなものまで、思いつく限りどんどん書き出してみよう。
2.参加する人が好きそうなことを空想して書く
右の三角形には、企画のターゲットである新郎新婦や参加するメンバーの趣味、好きなことを想像して書いていく。ここで重要なのは、左に書いた内容をいったん忘れること。結婚式からは離れて、ターゲットが喜びそうなキーワードを自由に挙げていこう。
3.合体させればアイデアができた!
左と右のキーワードを組み合わせると、「恩師+ケーキ」→「恩師にケーキを持って登場してもらう」、「仮装+猫」→「猫の仮装をする」のようにアイデアが完成。実現できるかどうかは後回しにして、面白いと感じたものはすべて書き出すのがポイント。最初に言葉をたくさん出しておけば、1時間に100個の新しいアイデアだって浮かぶ。
小西さんが長年愛用するのは、持ち運びしやすいLサイズの「ロルバーン」。「カラーバリエーションが豊富なので、使っていて楽しい。メモを習慣化させるためにも、気に入ったノートを選ぶことをお勧めします」
この人に聞きました
コピーライター。POOL inc.代表。クリエイティブ・ディレクター、劇作家、絵本作家。博報堂を経て2006年に独立。サントリー「伊右衛門」、ライザップなどを手がける他、「一風堂」の国内&世界戦略プロデュースも手がける。著書は『すごいメモ。』(かんき出版)。
(取材・文 工藤花衣)
[日経ウーマン 2016年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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