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少子化が意味するもの 若年層の経済的不安深く 女男 ギャップを斬る(水無田気流)

2016/5/15

例年、5月5日のこどもの日に発表される「15歳未満の子どもの数」は、4月1日時点で1605万人と前年に比べ15万人少なくなり、さらに1950年以降では過去最低を記録したことが分かった(総務省統計局人口推計より)。人口減にも歯止めがかからず、昨年調査された国勢調査速報値でも2015年10月1日現在での総人口は1億2711万人となり、前回調査(10年)から94万7千人の減少となった。

国立社会保障・人口問題研究所推計では、このまま対策を講じず放置した場合、日本の人口は2110年には4286万人まで減少するという。

少子化の大きな要因は、若年層の経済的不安だ。「妻の年齢別にみた、理想の子ども数を持たない理由」の第1位は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で総数でも6割、30歳未満では8割が理由にあげている(「第14回出生動向基本調査」より)。若年層、とりわけ30代男性の中央値で見た収入水準は近年急減しており、「就業構造基本調査」から算出した数値では90年代後半から00年代後半にかけ、たった10年で年収が200万円も減少している。

もはや若年層ほど共働きでなければ家計破綻リスクは高まるうえ、教育費の家計支出割合の極めて高いこの国では、女性の就労と出産・育児の両立は少子化対策の不可欠の条件だ。

だが、第1子出産後6割の女性が離職する状況に過去約30年変化はなく、妊娠による退職勧奨など法律違反の「職場慣行」や、マタハラまで横行している。

先進国で一番手間数のかかる育児を担うこの国の母親は、企業から非効率的な人材とみなされる恐れもある。だがそれゆえ妊産婦を退職に追い込むような事態のまん延は、まさに「部分の最適化」だ。個々の企業や個人が自らの生き残りのために行う「合理的な選択」が、結果的にこの国の人間そのものを減少させている。

この不条理を目の当たりにするたびに、私はインドの詩人・タゴールの詩の一節を思う。「子どもはみな、ことづてとともに産まれてくる。神はまだ、人間に失望してはいないのだということづてと」。あえて問う。産まれてくる次世代の命が歓迎されない状況がひしめくこの国は、果たして「神にまだ失望されていない」のだろうか。

みなした・きりう 1970年生まれ。詩人。中原中也賞を受賞。「『居場所』のない男、『時間』がない女」(日本経済新聞出版社)を執筆し社会学者としても活躍。1児の母。

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