マニアに人気の高級キーボード スマホ向けが新登場
キータッチのよさやキーピッチの広さ、小型軽量にこだわったPFUのパソコン用高級キーボード「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)に、ファン待望のBluetooth(ブルートゥース)モデル「Happy Hacking Keyboard Professional BT」(以下、HHKB-BT)が2016年4月25日に登場した。定評のあるキータッチや本体サイズに手を加えず、タブレットやスマートフォン(スマホ)などのスマートデバイスでも広く使えるようにした。たとえタブレットでも入力環境に妥協したくない……と考えるユーザーにとっては見逃せないBluetoothキーボードとなりそうだ。PFUが直販する「PFUダイレクト」の各オンラインショップ(本店、Amazon店、楽天市場店、Yahoo Shop店)限定で、直販価格は2万7500円(税別)。
ワイヤレス接続はBluetooth 3.0に対応しており、多くのパソコンやタブレット、スマホで利用できる。マルチペアリング機能を備えており、最大4台までのデバイスの情報を記録して自動的に接続できる(5台目のデバイスを接続した場合、接続したのが古い順に登録情報が削除される)。
電源は単3形乾電池×2本で、アルカリ乾電池の場合は約3カ月動作する。乾電池を使わない場合、microUSB経由でパソコンやモバイルバッテリーと接続してキーボードに電力を供給することで動作する(USB接続でキーボードが使えるわけではなく、USBで電源を供給してBluetoothで接続する仕組み)。
ワイヤレス接続以外の仕様は、USB接続の「Happy Hacking Keyboard Professional」と同じ。静電容量無接点方式のキーを採用しており、キーを底まで押し込まなくても入力できる。キートップの刻印は、キーの樹脂にインクを浸透させる昇華印刷方式を採用しており、刻印がはげる心配がなく使える。
ラインアップは、英語配列モデル(PD-KB600B)、英語配列の無刻印モデル(PD-KB600BN)、日本語配列モデル(PD-KB620B)の3種類を用意する。価格はいずれも同じ。本体カラーは墨モデルのみで、USBモデルで用意していたホワイトモデルはラインアップしない。
タブレットの位置に縛られずに済む
HHKB-BTをアップルの9.7型タブレット「iPad Pro」で使ってみた。USB接続の従来モデルと変わらない外観にまず驚いた。特に、幅が294mmと、USBモデルから据え置きとなった点は評価できる。狭いデスクでも設置しやすいほか、ビジネスバッグに入れてタブレットなどと一緒に携帯するのも不可能ではない。重さは、乾電池なしの状態だとUSBモデルとまったく同じ530g(英語配列モデルの場合)で、乾電池の分だけ重くなる。だが、乾電池を入れてもズッシリとくる感じはしない。
HHKB-BTの電源を入れると接続先を探すので、iPad ProのBluetoothでHHKB-BTを選び、画面上に現れるパスコードをHHKB-BTで入力すると接続完了だ。ちなみに、iPad Pro純正のSmart Keyboardを装着した状態でもHHKB-BTは動作する。その場合、Smart Keyboardはちょっとぜいたくなスタンド代わりに使える。
使っていて何よりありがたかったのが、「普段パソコンで利用しているキーボードの感触そのままで使える」ということだ。パソコン用のキーボードにこだわっている人でも、タブレットやスマホ用のキーボードは別のものを使っているケースが多いはず。キー配列やキータッチが違うのでパソコンと同等のタイピングができず、ストレスにつながりかねない。HHKB-BTならば、パソコンやタブレット、スマホで同じ1つのキーボードが使い回せるので、そのイライラから解放されるのは大きい。
Smart Keyboardにはないメリットとして痛感したのが、キーボードの位置がタブレットに縛られずに済むことだ。iPad Proは新幹線のテーブルに置き、キーの入力は膝の上に置いたHHKB-BTで……と、自由な姿勢でタイピングできるのはいたく快適だ。
気になるのは2万7500円という直販価格だ。税込みだとほぼ3万円である。だが、「HHKBのキータッチやサイズ感そのままのBluetoothキーボードが手に入る」という安心感は大きい。特に、Bluetoothキーボードをあれこれ購入しては、やっぱりキータッチが気に入らなかった……と失敗した経験を持つ人にとっては、多少高いが手になじんだキーボードのBluetooth版が手に入るのは心強い。PCやタブレットなど複数のデバイスを日常的に利用しているならば、注目のキーボードだ。
(日経トレンディネット 磯修)
[日経トレンディネット 2016年4月12日付の記事を再構成]
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