北陸GW、新施設やイベント続々 産業や芸術の体験型
ゴールデンウイーク(GW)に向けて、北陸3県で地域産業や文化・芸術などを体験したり学んだりできる新たな施設の開業やイベントが相次ぐ。いずれも観光客がじっくり楽しめる内容で、北陸での滞在時間の延長や周辺を回遊するきっかけにもなる。主催者側は、GW期間中の集客にとどまらず、地域も巻き込んだにぎわい創出につながることを期待している。
富山県では鋳物メーカーの能作(高岡市)が27日、新工場を兼ねた産業観光施設を開業した。生産ラインの見学コースを整備し、製造時の音や熱、匂いを感じてもらう。錫のぐい飲みやはし置きなどの製作体験も可能で、地元食材を使った料理を同社の食器で楽しむカフェも併設した。見学や製作体験は予約が必要で、平日を除くGW期間は工場見学のみ休止する。
施設内では富山県をかたどった全長3メートルのテーブルに、富山の名所や名物をプロジェクションマッピングで映し、社員がお薦めスポットを取材した「観光カード」も置いた。能作克治社長は「高岡鋳物の魅力を体感してもらうとともに、県内観光のハブ施設を目指す」と力を込め、年5万人以上の来場を目指す。
富山市では富山県美術館が29日、「ぐるぐる」「ぼこぼこ」など「オノマトペ(擬音語・擬態語)」をテーマにした8種の遊具を備えた広さ約3800平方メートルの屋上庭園を開園。GW期間中は箱の中のモノを手で触ってオノマトペで表現するワークショップも行う。
夜になれば、隣接する富岩運河環水公園の夜景が楽しめる。園内にはスターバックスコーヒーの各国店舗の中でも群を抜く美しさで評判の「富山環水公園店」がある。県の担当者は「家族連れやカップルに気軽に来てもらい、芸術文化に触れてほしい」と話す。
石川県では5月5日まで「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」を開催。テーマはベートーベン。金沢市を中心に無料を含む約170の音楽公演が開かれる。昨年までの催しに比べ、世界的な音楽家と地元の音楽家らが共演する機会を増やすなど地域色を出した。実行委員会の担当者は「地域の人に技術や感動を残し、一過性の盛り上がりで終わらせない」と意気込む。
山代温泉(同県加賀市)では谷口呉服店ら有志が29~30日と5月3~7日に街歩き用の着物レンタルを始める。3日前までの予約制で、GW期間の価格は4500~7200円(税抜き)と通常の1割引き。利用者の反応をみて、5月下旬から日本舞踊や菓子作りなどの体験と組み合わせたサービスを始める予定だ。
福井県では今月、越前和紙の歴史や文化を展示する「紙の文化博物館」(越前市)がリニューアルオープンした。30日と5月3~5日には、事前申込制で贈答品などを紙で包む「折形」の体験企画を実施。箸袋やポチ袋の折り方、祝儀袋の渡し方などを学べる。市の担当者は「伝統産業の活性化や交流人口増につなげたい」としている。
JTBがまとめた今年のGWの旅行動向では、国内の旅行先10地域の中で北陸を選んだ人の割合は5.4%。順位は9番目だが、昨年比の伸び率では東海に次ぐ2番目で2.2ポイント増加。北陸新幹線開業から3年目のGWだが、なお注目度は高まっている。
[日本経済新聞朝刊2017年4月28日付]
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