「イクメン第2章」始まる 妻のよき理解者となれ父親学級・父子手帳に変化の兆し

「イクメン」が新語・流行語大賞の一つに選ばれたのは2010年。育児や家事を手伝う父親はじわり増えて、周囲の理解も着実に深まってきた。一方で「イクメンはかっこいい」というイメージや、家事をどれだけ手伝えるかという面が強調されすぎていた感もある。大切なのはパートナーとしての妻を深く理解し、よき家庭人になること――。そんな「イクメン第2章」とも言うべき考え方が、じわり広がり始めている。
妻の出産を控えた3人が、妻の目線で何ができるかを一緒に考える(埼玉県所沢市の松田母子クリニック)

「産後1カ月は傷口がふさがらず、妻はけが人と同じ状態。それなのにあなたや周囲は、生まれた子どもばかり気にかけていませんか」

家事代行ではない

8月9日、育児・家事サービスを手がけるアイナロハ(埼玉県所沢市)の渡辺大地さん(33)は、松田母子クリニック(同)で父親学級を開いた。出産を控えた3組の夫婦が参加して、2時間の講義に熱心に耳を傾けた。父親学級の定番であるおしめの替え方やお風呂の入れ方には触れない。特に強調したのが「産後の父親の役割は家事代行ではない。妻の体調や気持ちを常に考える、最高の理解者であれ」という点だ。

たとえば妻は一日中、話せない赤ちゃんと二人きりで過ごし、慣れない育児に参っているかもしれない。帰宅してどう接するか。子どもをあやし、お風呂に入れるのが正解なのか。夫が家事をできるに越したことはないが「妻が夫にお願いしたい家事は何か、赤ちゃんの様子を見ながらではできない家事は何かを想像することが大事。そのためには2人が話し合う時間を持つことが重要」と説く。

「子どもが生まれた後では日々忙殺される。出産前に妻の考え方をよく聞いておきたいと思った」。参加者の一人、9月に第1子が生まれる予定の三縄貴嗣さん(32)は話す。11月に第2子が生まれる石川直紀さん(36)は「これまでは洗濯や掃除など手伝う家事の量を増やそうと思っていた。2人目ならではの大変さもあるだろうし、妻のメンタル面をフォローする大切さを感じた」という。

講師の渡辺さんも2児の父だ。自称イクメンだったが、妻に「第1子が産まれた後のあなたは本当に役に立たなかった」と言われてハッとした。今では「本当のイクメンとは単なる子ども好きとは違う。子育ては大変なことも多いと理解したうえで、妻と密に協力して良き家庭を築いていく男」という信念を胸に、家事のテクニック論ではない父親学級を続ける考えだ。

目立つ父子手帳の配布・改訂

自治体が任意で製作、配布する父子手帳も変わり始めている。一般的には妊娠中の体のしくみ、産後の手続きや地域の支援制度などを簡潔にまとめたマニュアルの色合いが強かった。今のキーワードは「子育てのリアル」だ。

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