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香川の景勝地・屋島、挑む観光再生 水族館を改修存続 「日本にないインパクトある施設に」

2016/4/15 日本経済新聞 地域経済

瀬戸内海国立公園内にあり、香川県を代表する景勝地「屋島」を観光地として再生しようと官民が動き出した。老朽化から存続が危ぶまれていた水族館は一転して、営業を続けながら改修する方針を決定。高松市が規制や活性化策に関し国に協力を要望するなど積極関与を約束したのが大きい。存廃問題は収束し、集客アップへどう魅力を高めるか。新たな挑戦が始まる。

新屋島水族館は動物の身近さが魅力の一つ(14日、高松市)

「水族館の存続に向けた施設整備に建設的な指導や助言をお願いしたい」。3月22日、環境省と文化庁を訪れた高松市の大西秀人市長は頭を下げた。国立公園内で現状変更に制約があることなどへの配慮を求めた。

屋島山上にある水族館は1969年に開業。この1年余り存廃に揺れてきた。建設から40年以上が経過し、劣化が進んでいて耐震強化が必要。運営側のアクリルパネルメーカー、日プラ(香川県三木町)は自然公園法のほか、屋島全体が天然記念物で建て替えや増築が難しい規制を前に、いったんは昨年末での閉鎖を決断していた。

水族館はかつて運営に窮し、2006年に日プラの子会社が引き継いだ。「3年をメドに屋島のてこ入れを期待したが難しかった」(日プラ)ため、見切りをつける必要に迫られ続けていた。

ただ、閉鎖が現実的になると、「小さくても山上に残してほしい」といった県民らの声が膨らんでいく。昨秋以降、週末には子ども連れで混雑する光景が戻ってきた。日プラは閉鎖を先延ばしして対応を検討。市が積極的に関与し、国に規制の柔軟な運用を求める方針になったことも後押しし、局面が変わった。

「時間はかかっても、今の場所で営業を続けながら改修を進める」(同)。今後はイルカやアザラシのプール、本館展示などエリアごとに改修し、建物の安全強度を高める。さらに規制の範囲を見極めながら、中身を一新する方針だ。

もともと屋島は日プラが世界で初めてアクリルパネルで大型水槽をつくった場所だ。同社は「水槽の形、レイアウト、魚の見え方など、近未来的で日本にないインパクトある施設へチャレンジしたい」という。水族館用アクリルパネルの世界最大手としての技術力を生かす考えだ。グループ内に設計士を抱え、新たな構想や現場の測量にも着手した。

高松市は改修手続きの早期化、規制に関する指摘事項への助言などで国と調整しながら支援するほか、活性化策も進める。屋島山上につながるドライブウェイの通行料無料化の実証実験を今夏に実施。山上には新たな拠点施設をつくる。多目的ホールや展望デッキを備え、自然や歴史を体験できるようにする計画だ。

瀬戸内海を一望でき、源平合戦の舞台にもなった屋島。四国八十八カ所の札所「屋島寺」もある山上は1972年には246万人の来訪があった。近年は50万人前後とその落ち込みは激しい。

官民が歩調を合わせた屋島再生策が実を結ぶか。香川のシンボルとして、子どもたちの憩いの場として親しんできた県内外の多くの人も見守っている。

(高松支局 深野尚孝)

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