美肌を育む冬の美容マッサージ
眉・鼻・ほおのコリほぐす
――冬、肌ダメージを防ぐには何に気をつけたらいいでしょう。
「今年はエルニーニョ現象の影響もあり、比較的暖冬傾向と言われています。日本気象協会と連携し11月から発信している『美肌予報』でも、多くの地域で肌状態は良好です。こういう冬は美肌を育む好機。いつもの乾燥対策だけでなく、たるみ改善に効果的なマッサージがお薦めです」
「顔で特に凝りやすい『コリ感スポット』の3カ所を重点的にケアしましょう。眉の下や小鼻の脇、歯のかみ合わせの所は、筋肉の交差点でコリやすいのです。お風呂に入りながらや、朝の洗顔後に刺激すると目がパッチリ開きます。体の筋肉は鍛える、顔の筋肉はほぐすと覚えてください」
ほぐす強さの目安 「心地よい痛み」
――マッサージのコツと注意点は。
「指の関節を使って少し痛いけど気持ちよいと感じるくらいの強さが目安。例えば目元のコリは、親指を眉頭の下に当てながら少しうつむくようにして、頭の重みで奥の方まで刺激が伝わるように。肌には手のひらで軽く触れ、あまりさすらないように。マッサージクリームは説明書を確認して適正量を使って下さい。少なすぎると摩擦で肌が傷みやすくなります。弊社のクリームなら大きめのサクランボ1個ぐらい」
「マッサージはコリ解消やたるみ対策だけでなく、しなやかで温かい肌になり、化粧品の効果も上がります。化粧水を使う前に手のひらをこすり合わせて顔を覆い温めるなど、一手間で効き目は違ってきます」
――美肌には食生活なども影響しますか?
「もちろん。全国の女性の肌データを分析した『美肌県グランプリ』上位の県を調べたところ、魚を丸ごと食べたり、発酵調味料を使ったりという食文化が共通していました。魚の皮や内臓も食べることで美肌に良いとされるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)が取れます。味噌やしょうゆを使った味付けで、加熱調理による食品の酸化を抑えているようです。ショウガやタマネギを食べると代謝も上がって冷えや免疫力低下も防げるでしょう。鍋料理もいいですね」
年重ね生まれる 自分らしさ表現
――長年、化粧に関わる仕事をして、意識するようになったことは。
「以前は化粧品という形ある物を開発していましたが、今は美容という漠然としたものが対象です。根拠と知見に基づく正しい美容情報とはどういうものなのかを意識し、1人でも多くの女性に輝いてほしいと考えています。私自身は好きな仕事を通じて、達成感を味わうことが、成長につながっていると感じます」
「年を重ねるにつれ、つらいと感じる場面も出てくるでしょう。私自身45歳で、これから更年期症状も始まるでしょうし、会社や家庭で様々な役割があって忙しい年代です。そんなときこそ美容への心掛けを忘れないでいたいのです」
――女性にとって美容は元気のもとになりますか。
「きれいになることに否定的な人はいないはず。楽しくワクワクと気持ちが上がることで、希望もわいてきます。数年前に病気を経験しましたが、メークとスキンケアから力をもらいました。笑うと幸福を感じるのと同じで、美容も人を元気に美しくします。さらに、肌を美しくするには土台となる体づくりが大切と実感しました」
「抗加齢と言いますが、年齢を重ねた良さや美しさや生まれてくる品格もあります。いろんな経験は貴重です。若作りしたり、変に女性らしさを主張したりせず、自分らしさを目指すほうが感じも良いでしょう。日本もようやく欧州のような成熟した考え方に向かっていると感じます。その時々を美しく生きていこうと考えています」
(聞き手は南優子)
[日経プラスワン2015年12月19日付]
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