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セカンドオピニオン 「医師へ気兼ね」普及阻む 仲介機関通して受けやすく

2015/10/14 日本経済新聞 朝刊

 主治医以外から診断や治療法について意見を聞く「セカンドオピニオン」。各地の病院で専門外来ができるなど体制整備は進むが、利用のハードルは高いようだ。医師への気兼ねや費用などがネックになっている。普及のためには何が必要なのか。

 「紹介状を書いてほしいが、自分では主治医に言い出しにくい」。千葉県がんセンター(千葉市)は8月、「セカンドオピニオンセンター」を開設した。セカンドオピニオンの前段階から、看護師らが相談や仲介にかかわるのが特徴だ。

 通常、セカンドオピニオンは主治医に申し出て、カルテや検査データを提供してもらう必要がある。ただ「信頼関係を損ねる」とためらう患者も多い。このため相談を受けたセンターが、患者に代わって意向を主治医に伝えることもある。

 がんセンターの患者だけでなく、他の医療機関の患者も対象。開設から1カ月で40件の相談があり、浜野公明センター長は「潜在的ニーズが掘り起こされている」と話す。

■納得いく治療に

 セカンドオピニオンは米国で始まり、日本では1990年代から導入され始めた。別の医師の意見を聞くことで、患者が納得して治療に臨むことができる。関西の病院でがんの手術を受け、東京で治療を続けることになった40代女性は、処方された抗がん剤が異なったため別の病院で意見を聞いた。いずれも有効と説明され、「抵抗なく使うことができた」という。

 ただ普及は道半ばだ。国立病院機構は13年までに全143病院に専門外来を整備したが、利用者は約3400人(13年)で5年前の約2割増に過ぎない。厚生労働省が5千人の患者を対象に実施した調査では、セカンドオピニオンを利用した経験がある患者は22.4%にとどまった。

■抵抗感じる医師も

 壁の一つとしては、医師と患者の関係が指摘される。大阪大学の多田羅浩三名誉教授(公衆衛生学)は「日本では患者が医師に意見を言いにくく、信頼関係を壊すとの不安から普及してこなかった」と話す。別の医師を探す負担も大きい。 一部には抵抗を感じる医師もいるようだ。医師向け情報サイトのメドピア(東京)が医師約3900人に調査したところ、1割が「セカンドオピニオンを切り出されたら不快に感じる」と答えた。「信頼されていないと感じる」という理由が目立つ。

がん研有明病院の大野乳腺センター長はセカンドオピニオンを受ける際には、質問したいことを整理しておくとよいとアドバイスする(東京都江東区)

 米国では主治医が患者にセカンドオピニオンを取得するか聞くのが当たり前になっている。大阪中央病院健康管理センター(大阪市)の平岡諦顧問は「患者も当然のこととして切り出す土壌ができている」と話す。

 「市民のためのがん治療の会」(東京都国立市)は、同会が窓口となって受けられる有料の仕組みを運用している。がん治療は大きく外科手術、放射線、抗がん剤にわけられる。医師の専門で治療法が決まる場合も多い。「切らなくても治るのに『外科手術しか知らなかった』と悔やんでほしくない」と代表の会田昭一郎さん。

 患者側の意識を見直すことも必要だ。主治医の治療方針が理解できずに他の医師の説明を聞いても納得できる治療につながらない。がん研有明病院(東京・江東)の大野真司乳腺センター長は「まずは主治医のファーストオピニオンを理解することが重要」と話す。

◇            ◇

■がん保険活用で自己負担を軽減

 セカンドオピニオンの利用が進まない背景として、費用の高さを指摘する意見もある。保険診療の適用外のため、患者はすべて自己負担せざるを得ない。料金は病院ごとに違うが、30分間で2万~3万円を超える病院もある。気軽に受けるというわけにはいかない金額だ。

 こうした負担を軽減するには、保険会社のがん保険などに含まれるサービスを使う手もある。

 例えば、米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)では、セカンドオピニオンを無料で受けられる契約もある。自分の病気にあった医師を複数紹介してもらい、うち1人からセカンドオピニオンを受けられる。セカンドオピニオン以外に、無料で電話相談もできる。

 メットライフ生命保険の場合、総合相談医に病状などを説明し、セカンドオピニオンを受けることができる。地方の契約者のために、電話での相談サービスもある。

(吉田三輪)

[日本経済新聞朝刊2015年10月11日付]

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