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マイ・インターン お洒落で愉快なビジネス書

2015/10/11 日本経済新聞 夕刊

若く聡明(そうめい)な女性が興した会社に40年のサラリーマン生活を終え、妻を亡くして心に満たされない思いを抱えた男性がシニア・インターンとして雇われた。

まるでマンガで読む憲法や世界史のように判(わか)り易(やす)くて面白く“女性企業家成功の秘訣”を語る脚本を書いて監督したのは『恋するベーカリー』(2009年)など、同性への共感をこめたコメディが得意な女性監督ナンシー・マイヤーズ。

『プラダを着た悪魔』(06年)が出世作になったアン・ハサウェイが、あの続きを生きているようにウェブのファッション通販で成功、流行の先端をいくブルックリンにオフィスを構えて夢中で働く社長ジュールズを演じれば、インターンに採用されたベンを演じるのはロバート・デ・ニーロ。長年こわもての役で名優の名をほしいままにしてきた彼が、ここでは女性社長の気づかない人間関係に気を配る紳士を演じて新鮮だ。

老人が苦手な社長付きになったベンは、幼い娘のいるジュールズが主夫として家庭を守る夫の浮気を疑い、忙しすぎる仕事を外部から招くCEOに任せるかどうか迷って岐路に立っていることを知った。

仕事に夢中で夫の孤独に気づかなかったジュールズの胸は痛む。そんな社長を見ながら、会社をここまで大きくしたジュールズは才能をいかして仕事を続けるべきだ、とベンは思うが、答えを出すのは彼女だ。

男なら悩むこともなさそうな仕事と家庭の両立問題に直面しても一人で抱え込むのはよそう、とナンシーの脚本はアドバイス。人生のベテランには知恵があることをジュールズはベンから学んでいく。一方、定年退職者には、出会った若者たちやステキな中年女性にも心を開いてチャンスをつかめ、とけしかける。

見た目がお洒落(しゃれ)な変形版ビジネス書? 愉快で役に立ちそうなのがなにより。2時間1分。

★★★★

(映画評論家 渡辺 祥子)

[日本経済新聞夕刊2015年10月9日付]

★★★★★ 今年有数の傑作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…

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