レンタルで広げる、私のオシャレ
流行も意識、プロが助言
「通勤服に女子会、場面ごとにコーディネートを考えるのは大変」と話すのは会社員の園田みどりさん(仮名、35歳)。ファッション誌や店頭には春らしい装いが目白押しだが、全て新調するのは懐事情も許さない。「気に入った服も、頻繁に着ると周りの目が気になる」(園田さん)
こんな悩みを解消すべく昨年から登場したのがレンタルファッションサービスだ。借りるのは結婚式やパーティー用の特別なドレスではなく、職場や休日に着るような普通づかいの洋服。雑誌でも人気のスタイリストが好みに合わせて服を選び、流行を気軽に取り込むコツを教えてくれる。
昨年10月から、情報通信サービスのノイエジーク(東京都中央区、天沼聡社長)がインターネット上で始めたのは「airCloset(エアークローゼット)」。登録後、ウェブ上の服の写真や好きな色、挑戦してみたい色などを選択することで好みを分析。スタイリストが利用者を想定し、3点を選んで郵送してくれる。
商品には「大ぶりのアクセサリーと合わせてみて」「オフの時はパンツと合わせて」などの助言がつく。月額6800円(税別)で借り放題なので、何度でも交換でき、クリーニング料も不要。気に入れば買い取りもできる。
サービスを利用する矢部麻里子さん(仮名、30代)は「試着室の感覚。新しいブランドにも気軽に挑戦できて幅が広がった」と満足げ。送られてくる商品もすべてクリーニング済みなので、他の人とのシェアも気にならないという。
持たない生活で余裕
生活スタイルにもよるが収納カウンセラーの飯田久恵さんによれば「自宅の収納空間に収まる範囲で、四季の服数を抑えるべきだ」と言う。1着をハンガーでつるすと幅は5センチ程度。90センチのクローゼットなら収まるのは18着ほど。少なく感じるが「見えない所にしまい込んでしまうのは着ない服を増やす。無駄の始まり」(飯田さん)。手持ちは必須アイテムだけにして、レンタルサービスを賢く使うのも手だろう。
どんな服でも着こなすコツについて、パーソナルスタイリストのみなみ佳菜さんは「袖や裾をまくって手首や足首を出すと服が体になじみ、こなれた感じになる」とアドバイスする。シャツやジャケットなら一度襟を立てて高さを出してから前に倒す。色物はボトムスなど「顔から離れたところから挑戦すると取り入れやすい」という。上着なら、真珠など白い物を顔と色物の間に挟むと、顔にもなじみやすくなるという。
インターネットで定額借り放題もいいが、どんな商品が届くのか心配という人もいるだろう。ガールズスタイリング(東京都港区)は、5月末にも都内で実店舗での貸し出しを始める。服だけでなく、靴やアクセサリーなども取りそろえ、実際に試着したり、スタイリストから流行や組み合わせのアドバイスを受けたりすることもできる。
2月の店舗プレオープン会では20~40代まで幅広い層の女性たちが集まった。一定の年齢を重ねると好みは偏りがちになってくる。同社の木原悠紀子社長は「180度方向を変えるのは勇気がいる。定番にほんの少し新しいアクセントを加える、90度の変化を楽しみ、新しい自分を発見してみては」と話す。
車も家も所有から共有への流れが広がりつつある。本当に必要なものを見極めつつ、選択肢を広げる工夫はオシャレだけでなく、暮らしに余裕をもたらしてくれそうだ。
(松原礼奈)
[日経プラスワン2015年4月18日付]
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