栄養のある豆料理 手軽に作りたい
もどす時間 熱湯で短縮
1月中旬、横浜市の料理教室「べにやビス」で豆を使った講座「お豆サロン」があった。代表の長谷川清美さんが「大豆は蒸すとおいしくなります。水にうまみが逃げないので味がしっかりします」と説明すると「蒸すのは初めて」との声が上がった。
参加した会社員女性(40)は「豆料理は母親がよく作ってくれた。特に小豆が好き。自分でももっとつくれるようになりたい」と話す。自分でつくれば砂糖の量なども好みに調整できるメリットもある。
この日のメニューは東南アジアの焼き飯ナシゴレン、ヨーグルトサラダなど4品。肉などの代わりに固ゆでした青大豆や7種類のミックス大豆を使った。甘煮など単品で使うだけではなく、様々な料理に取り込むことでバリエーションが一気に広がる。用途はスープやサラダ、ご飯類など幅広い。
ただハードルとなるのが豆をもどしたりゆでたりするプロセスだ。長谷川さんは「時間は少しかかるけれど、ひとつひとつの工程はとてもシンプルで難しくない」と話す。豆は水で一晩(7~8時間)かけてもどすのが一般的とされるが、熱湯なら時間を3分の1から4分の1に短縮できる。
長谷川さんによると、豆を煮るには厚手の鍋が向くが、雪平鍋などの片手鍋でも大丈夫。(1)お湯の中で豆がなるべく動かないようにする(2)豆がお湯から顔を出さないようにする――などのポイントを守れば、大きな失敗は少ない。
豆はきれいにゆでることができないと失敗したように感じてしまうが、料理に使う場合は皮が少し破けてもそれほど気にする必要はない。スーパーでは大豆なら1袋(250グラム)が200~300円とお手ごろなので気軽に使いたい。
料理教室に毎回参加している主婦(76)は「ほかの食材に取り込めば主菜になるのでコロッケなど色々つくっている」と楽しそう。長谷川さんも「時間がなければ缶詰の水煮などを利用しても構わない。豆が様々な料理に使いやすいことを知ってほしい」と話す。
冷凍保存でも劣化せず
築地場外市場(東京都中央区)で豆や雑穀を扱う山本商店の店頭にはふっくらとしてつやのある乾燥豆が所狭しと並ぶ。山本正人社長は、「見た目で品質を見極めるのは難しい。信頼できるお店で聞いたり、包装の年産表示を確認したりするのが大事」と話す。
山本さんはなるべく新しい豆を使うことをすすめる。豆は9~10月ごろに収穫される。「豆も生鮮食品。時間とともに風味が落ちてくる」。新豆と古い豆を一緒に煮ると煮えムラができるので避けるようにしたい。
乾燥豆を保存する際には冬なら屋外に置いておいても大丈夫。春以降に気温が上がってくれば冷蔵庫に。しばらく使わない場合は冷凍しよう。品質はほとんど劣化しない。
ところで、節分で余ってしまったいり豆をどうしたらいいか毎年悩む。何かうまく活用する方法がないか、山本さんに聞いたところ、味噌に砂糖とみりんを煮詰めたところにいり豆を絡める方法がおすすめという。また1合あたりひとつかみほどのいり豆を、そのままごはんと一緒に炊き込んでもおいしい。
(高田哲生)
[日経プラスワン2015年1月24日付]
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