脳の健康を保つ食事 魚の脂肪酸を上手に摂取

脳卒中など脳の病気と、食事との関係について関心が高まっている。普段から脳の健康に配慮した食事を取ることで、病気にかかる可能性を少しでも下げることができると考えられるようになってきたからだ。では、どんな食事がよいのか。専門家に聞いた。

脳の健康によい栄養素として知られているのが、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)。オメガ3脂肪酸の一種で、イワシやサバ、サンマなど青魚に多く含まれている。

■「脳血管柔軟に」

食事と脳の働きについて詳しい杏林大学医学部教授の古賀良彦さんは、DHA・EPAについて「血液をサラサラに保つとともに、硬くなった脳の血管を柔軟にするとされる。神経細胞が必要とする酸素と栄養を十分に供給できる状態にする効果も確認されている」と説明する。

オメガ3脂肪酸は人が体内で合成できないため、食事などで外から摂取する必要がある。また、同じオメガ3脂肪酸に属するα―リノレン酸は一部がDHA・EPAに変換される。

DHAとEPAは脳卒中による死亡リスク(死亡する恐れ)を下げる可能性があるとの報告もある。厚生労働省の研究班が30歳以上の男女約9000人を対象に24年間にわたり追跡調査したところ、DHAおよびEPAの1日あたりの平均摂取量が1.72グラムと最も多いグループは、同0.42グラムと最も少ないグループに比べ、脳卒中など循環器疾患の死亡リスクが20%低いことがわかった。

研究班を率いた滋賀医科大学教授の三浦克之さんは、「毎日、サンマ1匹程度からの魚介類の脂肪酸を摂取することで、将来の脳卒中や心臓病を予防できる可能性が示された」と説く。

ただ、日本人の魚介類の摂取量は右肩下がり。2000年に1人あたり1日92グラムだった日本人の魚介類摂取量は12年には70グラムまで減っている。三浦さんは「塩分の取り過ぎに注意しつつ、魚介類をたくさん食べる健康的な食生活の習慣を身につけることが大切」と話す。

魚が実際にDHA・EPAを含む量は種類や部位によって大きく異なる。例えば、DHAを多く含むとされるマグロでも、脂身の部分には豊富でも、赤身の部分だとわずかな量にとどまる。一般に脂の乗った魚の方が含有量は多いのだが、脂質の取り過ぎも体には良くない。

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