バイクにスマホ乗せGO アプリで快適ツーリング
「自分の運転が数値化されるので、もっとうまく走ろうという気持ちになる」。バイク歴30年になる静岡県の男性会社員(56)はこう話す。1300ccの愛車に乗ってツーリングに出かけるのが趣味だ。好きなコースは曲がりくねった山道だという。
ヤマハ発動機が昨年10月に提供を始めたアプリ「スマートライディング」は、バイクがカーブを曲がるときの運転技術を評価してくれる。ハンドル部分に取り付けたスマホのセンサーが車体の動きを計測し、100点満点で判定する。スムーズに曲がれば得点は高くなる。走行姿勢などのアドバイスも表示する。アプリにはスマホのカメラで動画を撮影する機能があり、走行時の動画があれば、より詳しくどこのカーブでうまく曲がれたかが分かる。「ツーリングの後に動画を見ながら仲間と振り返ることができる」(開発担当の野村靖さん)。
ヤマハでは社内のテストライダーの運転技術を評価する仕組みがある。これをスマホのアプリに応用した。点数を表示することで、カラオケの採点システムのように分かりやすくした。
ライダー同士が交流
バイクにスマホを付ける際には専用の取り付けカバーが必要で、ハンドル部分に固定する。安全確保のため、走行中は点数を見られないようになっている。運転技術を磨き、バイクの楽しさを味わってもらうことでライダーの育成につなげる。「自分の技術を正しく知って安全運転してほしい」(野村さん)
走行情報や点数はツイッターやフェイスブックに投稿できる。女性が多く活用しており、ライダー同士の交流にも役立っている。
バイク専用のナビゲーションとして活躍するのがナビタイムジャパン(東京・港)のアプリ「ツーリングサポーター」。バイク向けに工夫したのが見やすさだ。走行中のわずかな間にナビ画面を確認するため、矢印を画面全体に大きく表示させる。さらに次に案内する地点に近づくにつれ、画面背景の色を変えて案内する。
ツーリングを計画する際に参考になる、全国約370カ所のルートも紹介する。ルート上にある景色のいいお薦めスポットは写真で見られる。また、ツーリングで実際に走行した記録は保存可能だ。場所や時間、部品交換やオイル交換などメンテナンスの記録を残せば、「愛車日記」になる。
二輪駐車場を案内
ホンダが提供しているアプリ「Honda Moto LINC」はツーリングを楽しむための情報が充実している。たとえば、ライダーにとって関心が高い天気情報。ツーリングのルートを表示した際、出発時間から到着時間までの降雨情報がルートに合わせて見られる。雨が降っているエリアに気づかずに接近している場合にはアラームで知らせる機能もある。
二輪駐車場の場所を案内するサービスでは、全国約3000カ所の中から現在地に近い駐車場が見つけられる。車と違ってバイクが駐車できる場所を探すのはライダーにとって悩みの種だ。こうしたライダーの身近な悩みを解消するのが狙いだ。
若者の「バイク離れ」が指摘され低迷するバイク市場だが、2013年度の販売台数は前年度比9%増と好調だった。4月の消費増税後も前年を上回っている。バイクに特化したスマホアプリで、出かけることがより楽しくなりそうだ。
(電子報道部 古山和弘)
[日本経済新聞夕刊2014年11月6日付]
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