ガイドブックはスマホ 行楽情報、自分好みを表示
「友達とカフェにいたとき、急に時間が空いてしまった。困っていたら、スマホに近くの旬のスポットが流れてきた」。川崎市幸区のアパレル関連会社に勤める女性(26)はスマホ向けアプリ「ヤフーソノミー」を活用している。「自分の知らない情報がサクサク見られて楽しい」と言う。
興味のジャンル指定
ヤフーソノミーはインターネット検索大手のヤフーが9月下旬に提供を始めた。位置情報から、通勤経路で通る駅や地元エリアにある飲食店やイベントなどの情報がスマホに提供される仕組みだ。
従来のお出かけ情報サービスと違うのは、自分の好みの情報を集めてきてくれるところだ。利用者は「映画」「グルメ」「アート」など、興味のあるジャンルを指定する。すると位置情報を基に、近くのお出かけ情報がカード形式でスマホの画面に表示される。写真と3行程度の見出しで、タップすれば記事を詳しく読める。
利用者は好みに合っていればカードを右にスライド、好きでない場合は左にスライドする。1回に約20枚のカードを左右に振り分けることでアプリが利用者の好みを学習し、より好みを判断する精度が高まる。「ヤフーニュース」などに提供される情報や、フェイスブックの店舗・イベント公式アカウント、ブログなどの情報から自動抽出して提案している。
開発したCOO事業推進本部ネクストスタートポイントの善積正伍サービスマネジャーは「相棒のように感じてほしい」と話す。
情報を得るためのアプリではなく、行動するためのアプリの開発を目指した。通勤途中などのスキマ時間にスマホで情報検索する人は多いが、調べただけで終わることも多い。今いる場所からすぐにいける店や施設を提案することで、行動につなげやすくする狙いがある。
レシピ投稿・検索サイト大手のクックパッドは9月上旬に、サイト「ホリデー」の提供を始めた。利用者から投稿されたお出かけ情報を、一連のプランにして写真付きで紹介する。
「ガイドブックには載っていないような、隠れた魅力を掘り起こしたい」(ホリデー事業室友巻憲史郎プロジェクトリーダー)。ホリデーは2014年春に入社した新卒5人が作った。休日にどこに行こうかという悩みを解決するために、地元の人しか知らないような情報を共有したいという思いを形にした。
レシピ探す感覚で
利用者は、同じエリアにある複数の施設やイベント、行楽地を組み合わせて「おすすめプラン」として投稿・閲覧できる。プランは必要な情報を入力すると自動でまとめてくれる。見出しや写真付きで、雑誌の1ページのようなサイト構成だ。プランを探す時は、地域やジャンルから選べ、料理レシピを探すのと同じ感覚で、お出かけ情報を見つけられる。
コンテンツ配信のエムティーアイは女性向けのお出かけ情報のまとめサイト「プラホリ」を運営している。日帰り程度のお出かけ情報を首都圏、大阪、名古屋などの情報を中心に掲載する。グルメ、デート、観光、ショッピング、イベントなど計9カテゴリーごとに情報が紹介されている。
利用者は会員登録した上で、最近、気になっているお出かけ情報が投稿できる。閲覧者は投稿された情報を見出しと写真で一覧でき、クリックすると詳しい情報を読める。
ネット上にお出かけ情報はあふれている。その中で、効果的に利用者に届けようと、情報を加工して届ける仕組みが増えているようだ。
(企業報道部 広沢まゆみ)
[日本経済新聞夕刊2014年10月30日付]
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