丸井は「売らないテナント」への転換を推進
サスティナブルシンクはもともとオーダースーツの売り場だった場所で、以前は30~50歳代の男性が客層の中心だった。だが、今は10~30歳代の女性が7割を占める。自分の将来や環境に関心がある中高生や就職活動前の大学生たちも訪れて「勉強になる」と声をそろえるそうだ。
丸井グループにとっては、認知度が低いスタートアップ企業など新たな取引先開拓の意味も持つ。2026年3月までに売り場面積の約3割を「売らないテナント」に転換する方針を掲げている。D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)などのネット企業を積極的に誘致し、商品やサービスの体験の場を増やす動きだ。フリマアプリ「メルカリ」を使い慣れない客層との接点を作りユーザーを増やす「メルカリステーション」はその1つ。新宿マルイ(東京・新宿)を先駆けに、店舗を拡大する。
店内には小さな売り場スペース「サスティナブルシンク アパートメント」と呼ぶ棚も用意する。今年6月から始めた企画で、条件に応じて異なるが月額数千円ほどでボックスタイプのスペースを2つ貸し出す。より小さな規模で商品を展示し、QRコードで自社サイトやクラウドファンディングへ誘導する仕組みだ。女性用ショーツと缶詰を隣接させ、性別を問わず商品を知ってもらうなどボックスの配置も工夫を施す。
丸井グループは取り組みを通してSDGsに関わるコミュニティが拡大することに期待感を示している。出店数は11ブランドだったオープン時と比べ、現在は20以上になった。「結果として、マルイが取引先企業や消費者から選ばれたら」と須藤氏は語る。
(高崎文)
[日経MJ 2021年9月15日付]
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