最大のピンチは17年に訪れた。顧客の物流戦略の変更で計8基のタンク解約が決まった。鈴木さんは解約を機会に「搬出入で稼ぐ仕組みなら、次はよく動く品物を入れよう」と考えた。タンク容量を持て余していた別の顧客に対しては小さいタンクへの移し替えを提案するなど、全体の稼働最適化へ動き出した。

解約になるタンクの空いた期間が短ければ、損失は抑えることができる。「この日に全量出荷でタンクがカラになるので、早く洗ってほしい」と現場には先回りして伝えた。洗浄する期間は品目によるが、通常1カ月ほどかかる。現場と知恵を出しあって可能な限り短期間で洗浄を終え、ピンチをチャンスに変えてヤマ場を乗り切った。

上司で前任者でもある事業部長の吉田勇さんは「値上げのお願いや契約改定など困難な交渉でも、顧客と友好的に合意を取り付けてくるところがすごい」と話す。鈴木さんの営業スタイルは「顧客の戦略策定段階から話を聞き、最適な提案を出して一緒に組み立てている」と評価する。

鈴木さんは就活時の履歴書に「得意科目は球技」とも書いた。以前は趣味のゴルフを同僚や顧客と年60回ほどプレーしたこともある。最近は社内で草野球チームを結成し、油槽所の社員20人中14人が参加している。「仕事の話だけでなく、下らない話もしてコミュニケーションをとっていくのが好き。その中で相手がどんな人か見えてくる」

高浜油槽所は21年に稼働50年を迎え、老朽化対策を進めている。ほぼフル稼働で改修計画作りもいろいろ課題があるが、元同僚である妻にも「仕事の愚痴は言わないポリシー」を貫いて臨んでいる。これからも「化学メーカーの強みを生かし、保管品の高度な品質管理に力を入れていきたい」と仕事への誇りをのぞかせていた。

(石川雄輝)

すずき・とものり
04年に工学院大院修了、東洋合成工業入社。高浜油槽所の物流業務課に配属。13年にロジスティック事業部の物流営業課へ異動。16年より物流営業課長。群馬県出身

[日経産業新聞 2021年8月11日付]


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