2021/7/26

日米を往復しながら蒸留に携わる。やがて日本市場の開拓を打診される。スーツケースいっぱいにボトルを詰め込み、帰国したのは15年、3年生のころだ。

ところが日本の“仕事場”はこれまでとは全く違った。当時の輸入業者と展示会に出れば「上司を呼んできて」と言われる。営業に出向いても「女の子なんだからわきまえて」と商品の説明すらさせてもらえないこともあった。容姿について発せられる言葉も多く、次第に仕事以外の悩みが大きくなった。当然、販売は伸び悩む。

思い切って女性社長のソナット・バーネカー氏に相談したら「あなたは間違っていないし、そのように扱われるべきではない」と言ってくれた。

その言葉に背中を押され、自分で顧客を作る営業に切り替えた。全国各地を回ってセミナーや試飲会を開催。すると先々で出会うバーテンダーが商品に興味を持ってくれる。

今は日本だけでなくアジア全体を担当する。次の挑戦を尋ねると「スコットランドの現場で製造を学びたい」とはっきり答えた。

(編集委員 中村奈都子)

[日本経済新聞朝刊2021年7月26日付]