JAXA、今春の新人5割超は女性 採用から多様性を推進

2021/7/26

政府が成長戦略の柱として女性活躍を掲げたのは2013年。ダイバーシティ(人材の多様性)が組織力を高めるうえで重要との認識は広がったが、管理職や役員に就く人材は男性が圧倒的多数。女性活躍を深化させるには企業が女性の採用を増やし、育成する視点が欠かせない。組織力を高め、小惑星探査機「はやぶさ」など宇宙開発競争で世界と渡り合っている宇宙航空研究開発機構(JAXA)の取り組みを追った。

JAXAは今春、新卒採用で大きな節目を迎えた。新入職員36人のうち、女性が19人と初めて半数を超えた。応募段階では38%と女性の方が少なかったが、選考の結果、男性を上回った。

選考はエントリーシートの審査で人数を絞り、面接を3回実施する。人事課長の松村祐介さんによると「論文や研究に新規性があるか、学問的に優れているかを最優先に見ている」。そのうえでリーダーシップやコミュニケーション能力に注目する。

19年度は25%、20年度41%と年々、新卒の女性比率を高めてきた。21年度の新入職員のうち理系は75%にのぼり、女性では5割弱。実力本位の採用だが、組織として女性を増やしたいという意向はある。「人材の多様性が組織運営のメリットに直結する」(松村さん)と考えるからだ。

一昔前なら、宇宙開発ではロケット衛星の打ち上げが大きなゴールとされた。だが、現在は打ち上げだけでなく、衛星データをどう生かし、社会貢献していくかにも力点が置かれるようになった。データは火山活動の把握や森林火災の発生前後などに様々な視点で複合利用が求められ、関係省庁との調整業務もある。松村さんは「性別を問わず、様々な背景の人材を集め、新しい発想ができるようになることが必要」と説明する。

理工系女性は少なく、奪い合いが激しい。学校基本調査によると、工学系の学部生のうち女性は16%。理学系でも28%。そこで同機構は「JAXA本命」の女性を1人でも増やすことに力を入れる。

女子学生が多い大学で連携講義を実施するほか、コロナ禍前から女子対象のウェブ説明会を年1~2回開催。育児休業などの両立支援制度を説明し、実際にJAXAで働く女性職員の声を紹介する。松村さんは「出産や子育てなどとの両立の不安に対し、支援体制が機能していることを示す」と狙いを話す。