トヨタ系トップ営業、ガツガツせずにデジタルで種まきトヨタモビリティ東京 三浦大忠さん

少子高齢化やカーシェアリングの普及などで、カーディーラーは厳しい時代を迎えている。そのなかでも顧客に寄り添うサービスと実直な人柄でトップの成績を出し続ける営業パーソンがいる。トヨタ自動車系販社が統合したトヨタモビリティ東京・高島平店(東京都板橋区)の三浦大忠さん(34)は最新の営業システムも駆使し、600人に及ぶ顧客の商機をとらえる。

「車検のタイミング。買い替えもアタック」。三浦さんのパソコンには毎日、顧客情報を知らせるポップアップが届く。トヨタ自動車が導入した販促システム「次期i―CROP―J」で、顧客ごとの車検や納車のタイミングを自動で知らせる。「釣りを始めた」「娘が大学生」といった個人情報も書き込める。

2020年秋から導入が広がった。デジタル対応が苦手な同僚も多いが、三浦さんは「入力が面倒かなと思ったが、使ってみたらすごく便利で仕事も効率よくなった」。今では意識的に午後5~7時をデータ更新と次の営業プランを練る時間に充てている。

20年度の社内優秀表彰にも選ばれた三浦さんは、約600人の顧客を抱えるトップセールスマンだ。新車の予約開始やボーナス商戦などを前に、どの顧客が興味を持ってくれそうか。新システムを相棒に営業のアクセルを踏めるようになった。

東京都足立区出身で祖父、父母と代々車好きの家庭に育った。人と車に関わる仕事がしたいと、09年に新卒で東京トヨペット(当時)に入社した。研修で縁のあった高島平店に配属され、今年で13年目だ。営業成績でほぼ毎年表彰されており、「全店舗的にも有名な営業担当」(同僚)というが、意外な側面もある。

「『買ってくださいよ』とガツガツ言えないんですよ」。三浦さんは苦笑する。数百万円はかかる車選びは顧客にとって大きな買い物だ。他メーカーの車種と悩んでいる顧客にはトヨタ車と比べたメリット、デメリットを正直に伝えるようにしている。「じっくり悩まれても、納得した車に乗っていただきたい」。他社に流れるケースもあるが、半年ごとに連絡して乗り心地を聞くなど関係は絶やさないよう心がけている。

挫折も度々味わった。2年目の頃、顧客からバッテリーが上がったと助けを求める連絡が入った。商談中で対応できず、3時間後に慌てて向かったが、ひどく怒られた。上司にも「困っている方が最優先だ。行けないなら誰かに頼むんだ」と叱られた。以来、徹底して守っている。

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