円滑な会話には身の回りの工夫も効果的だ。補聴器をつける場合は、耳元で大声を出すのではなく、表情や口の動き、身ぶり手ぶりが見える位置で話すほうがよい。ゆっくり、はっきりと話すことを心がける。大事な言葉は文字や絵で伝える。電話よりメールやFAXでのやりとりが安心だ。

新型コロナウイルス下ではマスクを外すのが難しい場面もある。スマートフォンの文字おこしアプリも有用だ。水足講師は「聴覚や視覚など複数の感覚刺激を使ったコミュニケーションを心がけ、心身の健康維持につなげてほしい」と話す。

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補聴器巡るトラブルも

国民生活センターによると、補聴器を巡る相談は年数百件。店や通信販売で買ったが医師に不要といわれたり、耳に合わずやめたりする例がある。日本補聴器販売店協会の新井英希副理事長は協会加盟店や、テクノエイド協会の認定補聴器専門店での購入を勧める。

補聴器は単に音量を上げるのではなく、音の成分や大きさを分析し、雑音より人の声を強調するなどして聞き取りやすくする。補聴器外来や専門店はコンピューターを使い調整する。検査や面談で聞こえを確認し、生活環境も考慮する。定期的に通い、聞こえの変化にあわせるのも大切だ。

障害者総合支援法に基づく購入・修理費用の支給制度もある。医師の意見書や補聴器の見積書などが必要だ。自己負担額は所得に応じて決まる。専門学会の認定医が必要と認めれば医療費控除の対象になる。

(スレヴィン大浜華)

[日本経済新聞夕刊2021年6月30日付]

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