「社内からは『なぜうちがやらないんだ』と突き上げられました。経営企画担当役員だった私も一瞬迷いました。ただ、この商品は運用に失敗すれば会社が元本との差額を埋める必要があります。商品設計とリスク管理がおかしかった。結果的にお客様に迷惑をかけることになりかねない」

「リーマン・ショックで元本を保証していた会社は大きな損失を出しました。この分野で最大手だった米ハートフォード生命保険は同事業から撤退し、国内生保でも巨額損失の計上が相次ぎました」

――経営トップとして日々心がけていることは。

「やはり経営の軸をぶらさないことです。トップは先の展開を本当に見据えていかないといけません。何かを決断する際には自分なりに長く考えてきた経済なり社会の見通しの軸があります」

「しかし、迷う選択には学者や経営者など他人の意見を参考にします。そうした人は常に探しています。200万人の契約者への責任を負うと、自分の思い込みで失敗はできませんからね」

(四方雅之)

■小売りは商売の原点
 よねやま・よしてる 1950年山梨県生まれ。74年早稲田大学政治経済学部を卒業、富国生命保険入社。運用や企画部門を歩み、2002年取締役、10年から社長。生保経営の信条は「ぶれないこと」。
 「小売りは商売の原点です」。週末は時間ができると都内を散策し、デパートやスーパー、コンビニをのぞいては陳列棚などを分析してしまう。自分は常に仕事が頭から離れない仕事人間だと実感する。

[日本経済新聞夕刊 2021年6月24日付]

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