宮崎ギョーザ 地元産食材たっぷり、うま味がじゅわっ
宮崎県内にはチキン南蛮や地鶏、牛など知名度の高いご当地グルメが多数あるが、最近注目度が高まっているのが「宮崎ギョーザ」だ。豚やキャベツなど地元産の食材をふんだんに使う、地元の人に愛される名店が多い。
まずは宮崎市中央卸売市場内にある豚骨ラーメン店「屋台骨」の本店。注文してから数分でギョーザ登場。皮の表面はパリッと焼き上げてあり、見るからにおいしそう。熱々のうちに一口かむと、口中に肉汁と野菜のうまみが広がる。薄皮ながらも、しっかりとした食感。シンプルながらも飽きのこない味わいだ。
ギョーザは毎朝、市場内で製造する。豚肉は宮崎ブランドポーク認定のミンチで、ニラとニンニクも宮崎県産という。「できるだけ地元の素材を使うようにして、おいしさを引き出している」と屋台骨統括マネージャーでギョーザ責任者の渡辺愛香さん。渡辺さんは、宮崎市ぎょうざ協議会の会長だ。
次はギョーザ専門店「餃子のよどがわ」。代表の淀川司さんは、宮崎市ぎょうざ協議会の副会長だ。メニューは多彩で独創性にあふれた創作ギョーザが持ち味。自家農園で採れた新鮮な野菜を素材に使っている。タレも酢じょうゆ、味噌、レモン岩塩の計3種類。鍋やスープを含め「ギョーザを使う料理には、ほどんど対応できる」(淀川さん)という。
人気の「海老しそ丸ぎょうざ」を味わう。エビ1尾を丸ごと、大葉で包み、ギョーザの皮で揚げた、見た目は丸いギョーザだ。かむと大葉独特の風味が広がり、プリプリとしたエビの食感と、ギョーザのおいしさを同時に味わうことができる。
最後は、宮崎ギョーザ発祥の地といわれる高鍋町に本店を構える「餃子の馬渡」の宮崎山形屋店を訪ねた。創業は1967年の老舗専門店で県内外のファンも多い。かみ応えのある皮が特徴。同社は「もっちり皮」と名付け、商標登録済み。社長の馬渡陽一郎さんによると、「皮は作り置きせず、創業以来変わらない工程を経て、早朝から丹念に仕込む」という。馬渡さんは餃子のまち高鍋推進協議会の会長も務める。
自家製のラードで焼き上げる焼きギョーザの焼き面はカリッと香ばしく、蒸し面はもっちり皮特有の弾力のある食感。もっちり皮で、牛と豚の合いびき肉と野菜のそれぞれのうま味をとじ込める。
屋台骨と餃子の馬渡のギョーザはネット通販で購入可能。餃子のよどがわも電話で配送への相談に応じている。
総務省の2020年家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりのギョーザ購入額(冷凍や外食は除く)の全国順位は首位浜松市、2位宇都宮市、3位宮崎市の順だが、1位と3位の差は96円。宮崎市は年上半期のトップだったが、惜しくも僅差で、通年では涙をのんだ格好だ。
20年9月には市内の飲食店や卸売業者らが宮崎市ぎょうざ協議会を旗揚げした。消費拡大だけではなく、ギョーザを新たな観光資源に育てて街おこしに役立てようと、イベントや販促などの活動を進めている。
(宮崎支局長 武内正直)
[日本経済新聞夕刊2021年6月10日付]
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