ファブリー病に詳しい旭川医科大学の中川直樹准教授は「ふくろうの会のシンポジウムに参加した患者の中には、同じ悩みを抱える他の患者と親交が深まり、治療に前向きになれる人が少なくないようだ」と分析している。

日本難病・疾病団体協議会のホームページによると、家族会には「3つの役割がある」。「病気を科学的にとらえること」「病気と闘う気概をもつこと」「病気を克服する条件をつくりだすこと」の3点だ。

家族会にとっての転機は、2015年1月施行の「難病法」とされる。難病患者への医療費や福祉の助成拡充、国による難病に関する治療法の研究が加速されることになったためだ。ファブリー病を含む300を超える疾患が同法に基づき難病に指定されている。

取り巻く環境は前進したとはいえ、今なお課題は少なくない。患者の多くは「健康診断などで疾患が検出されない」「正確な診断を得るまでに時間がかかる」「専門治療に対応した医療機関を探せない」といった苦悩を抱える。

家族会はファブリー病以外にもあるが、設立されていない疾患もある。いまだ悩みや苦労を打ち明けられず、孤立している患者も少なくないとみられる。

「治療と日常生活を両立させることは、患者や家族の切実な願い」と原田さんは語る。希少疾患の患者や家族が抱える様々な困難をどう緩和していくか――。中川准教授は「社会全体で事情を理解した上で、患者が希望する社会生活を送ることができる環境を整備することが重要だ」と指摘している。

◇  ◇  ◇

診断、受けやすい仕組みも

希少疾患をめぐっては、患者自身が疾患に気づきにくいなどの問題がある。医師側の知識が足りないなどの理由で患者が正確な診断を得られないケースもある。複数の診療科の受診を求められ、希少疾患と診断されるまで時間を要することも珍しくないという。

こうした事態を解消しようと、日本医療研究開発機構は2015年から、希少疾患の可能性がある患者に対し、無料で遺伝子解析や検査を受けることができる制度(IRUD)を始めた。かかりつけの医師の紹介があれば、全国の拠点病院などで制度を利用できる仕組みだ。

患者が正確な診断を受けられるだけでなく、得られた診断結果は治療法の研究や疾患の解明などにも生かせる。制度を利用した人の中には新たな遺伝子変異が見つかったりする事例も出ているという。

(ライター 西村尚子)

[日本経済新聞夕刊2021年6月9日付]

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント